いつか必ず伝える、この想い


「…で、此処にさっき教えたやつを入れるんだ。」

「なるほどー。」



金曜日の放課後、俺の店に寄ったなまえが片手に持っていたのは学校で出されたらしい課題

何やらプログラム関係の課題らしくそれらが苦手ななまえは俺に教えてくれと頼み込んできた為、今は現在進行形でなまえに教えている真っ最中だ


毎回わからない宿題や課題を教えてとせがんでくるなまえが可愛らしくて俺は時間が許す限り、いつも優しく丁寧に教えている

そんななまえに対し、いつからか俺は密かに恋心を抱いていた



「でもプログラムの課題だったら遊作も得意だろ。アイツには頼まないのか?」

「あー…遊作は、その…」



そう尋ねたものの、なまえは何処か歯切れ悪そうに言葉を濁したまま視線を逸らす

遊作となまえは所謂幼馴染といった関係らしいがそんなアイツに頼めないって事は弱みを見せたくないとか、もしかして好きだからとか…やっぱり、それ相応の理由があるって事なんだろうか



「ま、なまえに必要とされてるってのも嬉しいからな。他にも何かあったらいつでも言えよ。」



そう言って俺は小さななまえの頭をくしゃくしゃと撫でる

こうして気軽に触れさせてくれるのは多分、俺の事を兄のように思ってくれてるからなんだろうなあ…


そう考えると少しだけへこむ


…まあ仮になまえが遊作の事が好きでも俺の事を兄のように思ってたとしても、いつか絶対、なまえに俺の気持ちを伝えてやろう



「ん?どうした、なまえ。」

「えっ!?う、ううん。何でもないよ。課題が終わったらお店、手伝うね。」

「お、そりゃ有り難いな。」



そう言って真剣に課題へ取り組むなまえを見て、俺の中で新たに決意が固まる


今は多分兄としての存在だろうが…いつか絶対、俺はなまえの恋人として隣に並べるように頑張ってみせる

だから待っててくれよ、なまえ


俺だけに向けられる眩しい程の明るい笑顔を浮かべる彼女に対し、俺は心の中で気合いを入れ直したのだった


いつか必ず伝える、この想い

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両片想いのお話、草薙さん視点。
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