密かに願っていたチャンスの訪れ
「どうだ、不霊夢。」
『いや、これといってめぼしいものはないな。』
とある日のLINKVRAINS
今回Playmakerと別行動を取っていた俺達は新たな情報を集める為、LINKVRAINS内を飛び回っていた
『しかしSoulburner、君も最早有名人だ。情報収集とはいえ、電脳空間内を動き回るのはあまり得策とは言えないとは思うが。』
「んじゃ、顔でも隠してけってか?」
『そういう訳では……ん?』
そんな中、何かに気付いた不霊夢が俺の背後を指差す
「見つけたー!Soulburner!」
「アイツは確か…」
『あばたー。SOLテクノロジーのバウンティハンターだ。』
不霊夢が指差した先にいたのはあばたーという名のデュエリストで
数日前に俺とデュエルしたばかりの、SOLテクノロジーに雇われたバウンティハンターだった
しかし、俺達だって何度も馬鹿正直に相手をしてやる訳じゃない
適当に撒こうとした所、あばたーは慌てた様子で俺の後を追い掛けてくる
「ちょ、ちょっと待ってSoulburner!私、もうSOLテクノロジーのバウンティハンターは辞めたの!」
「…はあ?」
よくよく話を聞けば俺とデュエルをした彼女はそのデュエルが随分と楽しかったらしく、またデュエルをしたいと思ったらしい
だがバウンティハンターをやっていると逃げられる可能性がある為、俺と再びデュエルをする為だけにバウンティハンターを辞めてきたと言うのだ
「何て言うか…アンタ、変わってるな。SOLテクノロジーなら金だって相当だろ。」
「だって私、別にお金欲しさでハンター請け負った訳じゃないし。強いデュエリストと楽しいデュエルがしたかっただけだもん。」
あっさりとそう告げるあばたーの様子に
若干呆れていた所、遠くから新たなバウンティハンターが近付いてくるのが見える
アバターから察するにGO鬼塚と行動を共にしていた奴等みたいだ
「Soulburner!此処は私に任せて先に行って!」
「は?…っていうかその台詞、スゲー死亡フラグ全開じゃないか?」
「だから後で私とデュエルして!」
「…なんでかな。アンタと話が全然通じてない気がするんだけど。」
全くもって会話が噛み合わない事が気になるものの、彼女のデュエリストとしての腕は戦った俺自身がよくわかってる
あの腕前ならば簡単にやられる事はないだろう
「仕方ないな。じゃあ後でデュエルだ、約束する。」
「やったあ!」
…本当は俺もあの時の熱く燃えるようなデュエルが楽しくてもう一度、あばたーとデュエルがしたいと思ってたんだよな
思いがけないチャンスに俺は一人、ガッツポーズを決めていた
密かに願っていたチャンスの訪れ
―――――
初のSoulburner夢。