続・騒々しい昼食時間


次の日の昼食時間、珍しくみょうじは俺の前に現れなかった

これでようやく静かに昼食を取る事が出来ると、そう思っていたが…



「……。」


ずっと傍にいた人間がただそこにいない、それだけで何処となく空虚感を覚えた気がする


…いや、まさかそんな事等、一時の気の迷いに過ぎない筈

そう自分で結論付けると俺は手早く昼食を済ませ、無人となった屋上を後にした



「…今日も来なかったか。」


だが次の日もみょうじが此方の教室に現れる事はなく俺は一人、屋上で昼食を取っていた


静かに昼食を取りたいと願ったのは自分自身の筈なのに

何故俺は今、みょうじの事を考えているのだろう



しかしいつまで経っても答えが出ず堂々巡りになった思考を落ち着かせようと教室へ戻った所、島からみょうじが酷い風邪を引いてここ数日休んでいるという情報を聞かされた

最近姿を見せなかった理由はそれだったのか



そして島から話を聞いた2日後の金曜日

屋上へ向かおうと教室の扉を開いた所、みょうじが久しぶりに俺の前に現れた



「藤木くん!一緒にお昼…」

「みょうじ。」

「おおっ、いきなり名前呼ばれるとびっくりするね!どうしたの?」

「どうしたはこっちの台詞だ。…風邪は治ったのか。」

「え?あ、うん。もう大分よくなったよ。…っていうか藤木くん、もしかして心配してくれてる!?」

「別にそういう訳じゃない。」


久しぶりに見たみょうじは相変わらず表情を目まぐるしく変化させながら、満面の笑みを浮かべている

たった数日見ていなかっただけなのに、みょうじの笑顔が何だか眩しく見える



「行くぞ。」

「え、行くって何処に?」

「屋上だ。昼食、食べるんだろう。」

「ふ、藤木くんが断らない所か誘ってくれた!やったあ!」



此方の言葉に対し、みょうじは喜びを表しているのか両手を挙げて跳び跳ねている


またあの騒々しい昼食時間が始まるのだとわかっているのにどういう訳か、それほど嫌だとは感じない

自分の心境の変化に驚きつつも、俺とみょうじは昼食を取る為に屋上へ向かったのだった


続・騒々しい昼食時間

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ツンデレの遊作が書きたかっただけです。
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