命短し、恋せよ男子!


「…はあ。何とかしてみょうじとお近づきになれねえかなあ。」



デュエル部での活動を終えた俺は一人、廊下を歩きながら小さく溜息を吐く


みょうじことみょうじなまえは俺と同じクラスの同級生で

少し大人しいけど美人な上、気の利く優しい性格でクラスの中でも好意を寄せてる男子は少なくなかった


同じような存在に財前がいるが、優しいは当てはまらないし気が利くも……と、とにかく皆にとってみょうじは高嶺の花みたいな存在だったんだ



「あれ、島くん?」

「へ?……っ、みょうじ!?」



だがその日はいつもと少しだけ違っていて、廊下で立ち止まっていた俺に理由はわからないが、みょうじが話し掛けてきた



「島くんは今、部活終わったの?」

「ま、まあな。これからちょっと残ってデッキ調整でもしてこうかと…」



まさか憧れのみょうじから声を掛けてくるとは思ってた筈もなく、緊張から声が上擦ってしまった事に若干後悔する


「島くんはデュエル部だったっけ。」

「そ、そうそう。みょうじが良ければ俺とデュエルでも…」

「ごめんなさい。私、デュエルはやっていないの。」


「あ……そ、そっか。」



唯一みょうじと接点を持てそうだった話題が不発に終わり、ガックリと項垂れる俺

みょうじはそんな俺を不思議そうに見つめつつ、再び口を開く



「でも私、何かを頑張ってる人って素敵だとおもうよ。」

「……え?」

「だから島くんも部活、頑張ってね。」



そう言って片手を振りながら階段を降りていくみょうじ

みょうじが俺に声を掛けた理由はやっぱりわからない


「…よしっ!デッキ調整して、最強のデュエリストになるぞー!」



それでも単純な俺にとって、みょうじの言葉は恋心とデュエリスト魂に火をつけたも同然だった


命短し、恋せよ男子!

―――――
島くん面白いです。
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