反則的な可愛さ


「ねえなまえ、まだ他の店にも寄るのかい?」

「ごめんね尊、もうちょっとだけ!」



そう言ってなまえは雑貨屋の一角にある髪飾りやアクセサリーが置かれた場所を何度も行ったり来たりと繰り返している



僕となまえは所謂恋人同士なんだけど学校はお互いに別々で、時間が合うとこうして放課後デートを重ねていた


いつもはカフェへ寄ったり公園で日が沈むまでゆっくりしたり、あまり慌ただしい行動はしてなかったのに

今日に限ってなまえはあっちの店へ行ったと思ったらこっちの店、そしてまた別の店へと僕をぐるぐると連れ回している



正直僕はアクセサリーとかには疎いから、なまえが色々なアクセサリーを僕に見せてきても違いはよくわからないのが現状で

そろそろゆっくりしたいなと考えていたのが本心だった



「なまえ。さっきから熱心にアクセサリーを見てるみたいだけど、何か探してるものでもあるのかな?」

「うーん、特に探してるって訳じゃないんだけど…。ほら、今度の土曜日に尊と遊園地に行くでしょ?」


確かに土曜日はなまえと遊園地デートの約束をしていたけど、その話とこれは関係ないんじゃ…



「この前友達に遊園地へ着ていく用の可愛い服を身繕ってもらってね、折角だからアクセも買ってみようかなと思って。……っていうのは建前で。」

「?」

「ただ単に尊に可愛いって思ってほしくて、可愛いアクセを探し回ってたっていうのが本音かなー。」



そう言って何処か気恥ずかしそうに頬を掻くなまえ

……何だろう、この反則的な可愛さは



「でも流石に尊も飽きたよね。大丈夫、このお店で最後にするから…」

「飽きてなんかないさ。僕はなまえの好きなものが見つかるまでとことん、付き合うよ。」



だってあんなに可愛いなまえを見たら、何処までだって付き合いたくなるのは決まってる


そう告げた瞬間『尊、大好き!』と言って左腕にくっつくなまえ

僕が無意識の可愛さって反則級の必殺技だと一瞬で理解した瞬間だった


反則的な可愛さ

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何となく彼女に振り回されてる穂村のイメージが浮かんだので。
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