後悔先に立たず
「ねえねえ、リボルバー。」
「なまえか。どうした。」
「えっとさ、ちょっと話があるんだけど。」
とある日の電脳空間内、私は何かの作業をしていたリボルバーを呼び止める
相変わらず何だかよくわかんない仮面?だかフルフェイスのヘルメット?だかを被ってる彼の表情はなかなか窺う事が出来ない
でも、もしかしたら今日はいつもの澄ました顔じゃないものが見られるかも!
そう考えながら私は眼前のリボルバーへ視線を向ける
「あのね。私、リボルバーの事が好きなんだ。」
「……。」
「だから、もし良かったら付き合ってもらえたらなーって。」
…とは言ったものの、この日は4月1日
所謂エイプリルフールで、嘘を吐いていい日なのだ
バレバレの嘘とはいえ一体彼がどんな表情を見せてくれるのか、非常に興味がある
まあもしかしたら凄く怒られるかもしれないが、その時はその時だ
そんな事を考えながら彼の表情を窺おうとしたのだが、相変わらず表情に変わりはなかった
「…そうか。」
ただ1つ、妙に嬉しそうな声色で頷いた点を除いて
「…ん?あ、あれ!?」
もしかしてリボルバー、今日がエイプリルフールだって気付いてない?
それはそれで大問題だ
慌ててリボルバーを引き止めようとした所、何処からか現れたスペクターに阻止されてしまう
「ちょ、離してよスペクター!リボルバーが勘違いしたままなんだって!」
「このままで良いのですよ。リボルバー様はなまえを好いてるんですから。」
「……はい?」
今、何て言った?
リボルバーが?私を?
「ええ、それはもう随分前から。新たにハノイへ入った有象無象達が貴女に近付かないよう、ずっと睨みを利かしていた位ですからね。」
「あれリボルバーの所為だったの!?」
どうりで新人くん達と仲良くなろうと思ってたのにそそくさと避けられていた訳だ
今の今まで新人くん達からすっごく嫌われてるんだと思ってたんだけど!
「いや、でも私の意見は完全無視なんですか。」
「なまえ、貴女の意見は求めていませんよ。そもそも貴女がリボルバー様に嘘を吐いた事が発端でしょう。」
「だってエイプリルフールだし…」
「これ以上文句を言うようでしたらデュエルで決着をつけますか?」
「絶対イヤ!スペクターのデュエル、えげつないもん!」
私が自分で蒔いた種とはいえ、まさかたった1つの嘘がこんな大事になるとは思ってもみなかった
「…まさに後悔先に立たず、かも。」
背後からでも嬉しさが滲み出ているようなリボルバーの姿に対し私は何とも言えない表情を浮かべながらぽつりと呟いたのだった
後悔先に立たず
―――――
エイプリルフールネタを書いてなかったので。