お兄ちゃんは度が過ぎる過保護3
「お兄ちゃんのわからず屋!何で毎回毎回、私の邪魔ばっかりするの!?」
「邪魔とは心外だな。俺はなまえをあらゆる危険から守ろうとしているだけだ。」
「それが邪魔してるって事なの!…っていうか、過保護過ぎ!」
『…アイツら何やってんだ?』
俺のデータを解析する為にホットドッグ屋の兄ちゃん…草薙がデュエルディスクを車内のコンピューターに繋ぐ作業をしている傍らで、遊作と妹のなまえが何やら言い争いをしている
この二人、いっつも何か揉めてるよな
『なー、今度は何で揉めてんだ?』
「ん?ああ、遊作となまえの事か。来週、なまえが友達と食事に行く約束をしてきたんだと。」
『別に友達とならいいんじゃないのか?』
「…その友達に同じクラスの男子も含まれてんだと。」
『……おう、それは納得した。』
普段はクールぶってる遊作だったがどうやら妹のなまえの事を溺愛してるらしく、これまでも色々とやり過ぎと言わんばかりの事をしてきたらしい
だが、今回ばかりはAIの俺には全く理解出来ない展開になっているようで
「もう私だって子供じゃないの!紺碧の機界騎士でリンクスレイヤーを攻撃っ!」
「子供じゃないとしても、俺にとっては大切な妹だ。俺にはなまえを守る義務がある。速攻魔法、サイバネット・バックドア!リンクスレイヤーを除外し、元々の攻撃力より低い攻撃力を持つサイバース族モンスターを一体、デッキから手札に加える。」
『…何だこりゃ?』
どうしてコイツらは言い争いをしながらデュエルをしてるんだ?
「もうずっとあーでもない、こーでもないって言い争っててな。じゃあもうデュエルで決めたらどうだって言っちまったんだよ。これで15回目のデュエルだ。」
『は?1回目で勝敗は決まっただろ?』
「…14回、引き分けだったんだと。」
いやいやいや、おかしいだろ
お互いにどんなカードを積み込んで、どんなカードを引けばそんな結果になるんだよ
「いい加減、お兄ちゃんは妹離れして!これじゃ彼氏だって出来やしない!」
「なまえに彼氏なんて俺は認めない。そんなヤツは5分でネットワーク上に情報をばら蒔いてやる。」
「一般人相手にハッキング技術を用いろうとしないでよ!」
『……。』
俺が覚えてる限り、このやり取りももう10回は見たぞ
『…やっぱり人間が考える事は理解不能だ。』
「心配すんな。この件に関しちゃ俺も理解不能だからよ。」
互いに熾烈な戦いを繰り広げているが、勝敗が決するのはまだまだ先のようだ
俺達はお互いに顔を見合せ、そして盛大な溜め息を吐くのだった
お兄ちゃんは度が過ぎる過保護3
―――――
こんなお兄ちゃんは嫌だ。(3度目)