可愛い可愛い、年下のオトコノコ
「うーむ……」
「どうしたなまえ、変な顔して。」
「…変な顔は余計なんだけど翔一。いやあ、ちょっとした悩みみたいなものがね。」
よく晴れた休日の昼下がり
Den cityの名所である海辺近くのスポットで作業をしていた私に翔一が声を掛けてきた
「悩みって何だよ。」
「えーっとね、ちょっと遊作くんの事で…」
「遊作の?」
そう、半年前に付き合い始めた翔一の知り合いである遊作くんの事だ
初めて会った時はほとんど会話も続かず取っ付きにくい子だなあと思ったのだが
少しずつ心を許してくれたのか徐々に話をする回数も増えていき、遊作くんの素直な所や優しい所も見えてきた
そんな時、彼に呼び止められ告げられたのが『なまえさんが好きだ』というシンプルかつ、ストレートな言葉
しかしそれ以上遊作くんは何も言わず私も何を言えばいいか迷っていた為、私達の間に流れる微妙な空気
その空気に耐えきれず私が『じゃあ、お付き合いする?』と尋ねて彼が頷いたのが半年前の事
しかしそれ以降特に恋人らしい事…キスは勿論、手を繋いだことをした事がない
遊作くんの事だから遊び半分ってのはないだろうけど…
いつものポーカーフェイスも相まって、彼の気持ちがよくわからなかったのだ
「あのさ、遊作くんと付き合って半年なんだけどまだ手も繋いだ事なくって。嫌われてるような感じはないけど…私の事、どう思ってるのかなーって。」
「半年も経って手も繋いでないって!?おい遊作、本当か?」
「……はい?」
翔一の言葉に驚いて振り返ればそこには少々困ったような表情を浮かべながら立っている遊作くんの姿が
ちょっと待て、遊作くんは今日来られないって言ってたじゃないか
「…その、なまえさんを不安にさせてしまってすまない。」
「え?あ、いやいや別に不安だった訳じゃないし遊作くんが謝る必要は」
「気持ちを伝えて以降なまえさんを好きだと、愛しいと思う反面……その、俺が触れていいのかと迷ってしまって…」
……何だこれは
普段のクールでポーカーフェイスな表情と違い、気恥ずかしそうに視線を逸らしながら歯切れ悪く言葉を紡ぐ遊作くん
「あー…もうっ、遊作くん可愛いっ!」
「……っ、なまえさん?」
年相応の…いや、もっと初々しい反応を見せる遊作くんがとっても可愛くて
動揺している遊作くんを余所に、私は愛しい彼をぎゅーっと抱きしめた
可愛い可愛い、年下のオトコノコ
―――――
初々しい遊作が書きたかっただけです。