小さな小さな味方
「ただいま。」
夜遅く玄関の扉が開くと同時に、大好きな人の声が静寂を保っていた部屋に染み渡る
あっ、翔一くんだ
翔一くん、おかえりなさい
「おっ、なまえ。もしかして俺が帰って来るまで起きてたのか?」
勿論。翔一くんが帰って来るの、待ってたんだよ
「そっか、遅くなって悪かったな。」
そう言って翔一くんは小さく笑いながらソファへと腰掛け、今日あった事を私に話し始める
今日はチーズ味のホットドッグがよく売れたとか、新しいプログラムを作ったとか、沢山の事を翔一くんは話してくれた
「でも、なかなかハノイの騎士の情報が集まらないんだよ。…遊作も歯痒い思いをしてんだろうな。」
最近翔一くんの話によく出てくる『遊作』くんに私はまだ会った事はないけれど、きっと弟の仁くんに関係ある人なんだろう
本当は翔一くんに危ない橋を渡るような真似はしてほしくないけど、翔一くんが決めた事なら私は止めたりしないよ
そんな事を考えながら私は甘えるように翔一くんの肩へ自分の顔を乗せる
「どうした?もしかして…なまえは俺の味方だって、そう言いたいのか?」
勿論!私はずっと翔一くんの味方だよ
「…ありがとな、なまえ。」
そう言葉を紡ぎ小さく笑いながら私の頭を撫でる翔一くん
翔一くんがどんな道を進んでも私はずっとついていくよ
だから安心してね
「にゃあ。」
そう決意を新たにしつつ、小さく鳴きながら私は翔一くんの腕に飛び込んだ
小さな小さな味方
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主人公がネコというのは初めての試みです。