恋人以上を希望します



『おれ、大きなったらマークとけっこんする!』

『じゃあフィディオがおよめさんだからね!』

『うん!』

こんな馬鹿みたいな話をしたのは何時だっただろうか。あれから随分と時間がたつ。共にサッカーというもので繋がり競い合って成長してきた。身長も声も好みも成長するにつれて変化した。しかしあの頃から変わらないものだってある。フィディオへの恋心だ。『およめさん』だなんて、あの時はただなんとなく発しった言葉だっただろうが今は違う。性別というものが邪魔して言葉にこそできはしないがはっきりと言える。「フィディオが好きだ」と。

「ねぇねぇマーク」

「なんだ?」

ソファーに寝そべって雑誌を読んでいたフィディオが突然声をかけてきた。またサッカーの話だろうと机に向かって肘をついていた俺はそのまま返事をした。

「俺が女だったらどうする?」

ずごん、漫画ならばそんな効果音がつくだろう勢いで俺の額は机に激突した。なにを突然言いだすんだこいつは。ぶつけた額をさすりながら俺はフィディオの方へ向くと真っ直ぐでどこか不安そうな瞳と視線が交わる。

「どうする?」

再度問われた。それに対し「分からない」と俺は答えた。本当に分からないのだ。

「なんで?」

「それは...」

言いづらい。フィディオが女の子ならと考えたことがないわけではない。しかし男と女、感性は全くというわけではないが違う。サッカーをしてなかったかもしれない。もしかしたら内気な子でこうしてちゃんと話もできないかもしれない。そう考えるとフィディオが例え女であっても告白することもましてや好きになることもなかっただろう。ちらりと目線を上げればまたあの瞳と出くわす。言うしかないのだろうか。

「その...俺は今のフィディオが」

好きなんだ、はっきりとフィディオの目をみて言った。そうしたらフィディオは顔を真っ赤にして「あう」だの「うぅ」だの言って口をパクパクしだした。俺はそんなフィディオが可愛くてフィディオの隣りへ行き抱きしめた。

「なんで女の子だったらとか聞いたんだ?」

抱きしめながらフィディオに問う。

「..だ、だって男じゃお嫁さんになれない」

消え入りそうな声でフィディオが答えた。あの約束をフィディオも覚えていたのか。そう思うと嬉しくて嬉しくて俺は更にフィディオを強く抱きしめた。

「女の子じゃなくてもフィディオは俺のお嫁さんだよ」

フィディオから離れフィディオの薬指にキスをした。



コツコちゃんへの献上品。マクフィ難しいです。コツコちゃん以外持ち出し禁止。


title by 確かに恋だった





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