「来るな!」
「おやおや、久しぶりの再会と言うのに」
「煩い!来るなっていったら来るな!」
お前といると心臓が持たないんだよ!
骸は何も言わずただコツコツと足音をたて沢田に近づく。骸が近付く度沢田の体温は跳ね上がる。
顔は真っ赤になり体は少しでも息を吸おうと僅かに上下に揺れている。それは酷く体に悪い。この男はわざとやっているのかそれとも無自覚というタチの悪いものかどちらかかはわからないが、骸は都合がいいようにとることにした。
そっと彼の細い首に手をかけまるで首を絞めるような体勢になった後片方の手を少しずつ下に下ろし首に舌を這わす。
沢田にとってそれは久しぶりの快感で刺激が強かった。
骸はそんな沢田を見やり首に吸い付いた。
首に赤い華が咲く。
一つ、また一つと増えていくそれは酷くそそられる。
「あ…っ」
僅かに口を開けた隙を狙い骸は自分の舌を彼の腔内に進入させる。
手は首から後頭部に移りしっかり固定している。
「ん…んっ」
沢田は息が苦しくなったのかドンドンと彼の胸を叩く。
やっと彼の口が解放された。
「ぷはっげほっ」
いきなり入ってきた空気に噎せる。そんな彼を横目で見、口角を上げた。
「もう離しませんから」
もう貴方の体は支配させて頂きました。
まもなく日が沈む。快楽という楽しいショータイムの始まりだ。
そして二つは一つになる。
静寂に身を包んだ夜空に卑猥な声が響き渡ることだろう。
沢田は僅かに涙目になりながら骸を見上げる。
「お前が俺から離れられないんだろ」
さて、捕らわれてたのはどっち?
〈end〉
2009.09.08
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