メロメロディ
イーピンが洗濯物を干している。晴天で気温も高い。いい洗濯日和だ。
このイーピンを見つめる人間が二人。一人は表情豊かで一人は表情が乏しい。不公平だがそんなものだ。
「おい」
「何ですか」
呼び止めると顔を此方に向けてくる。彼はいつも笑顔だ。何人とも彼の笑顔には勝てないとリボーンは思う。
「その顔、どうにかなんねーのか」
いつも笑顔で来られるとこっちの調子が狂う。リボーンは自分の教え子の彼氏の事を思い浮かべた。
「半分にしたら丁度いいのにな」
状況をよくわかっていない風と彼の姿を重ねる。こんなにも顔はそっくりなのに性格はまるっきり逆だ。
突然バサリと音がした。風は音をした方に目をやる。もう彼の目にリボーンはうつっていない。
「すみません。イーピンが洗濯物の中に埋まってしまっているので助けてきますね」
「ああ」
ペコリと律儀にお辞儀して彼女の元へと行く。
彼は誰のものにもなることがない。いや出来ない。そこはあの彼とそっくりだ。
「今何を考えているのですか」
いきなり下から覗かれて驚く。見ると先程あった洗濯物の山はすっかり影をひそめ、また彼女がいそいそと干し竿にタオルや何やらをかけている。
風が不意に吹いて彼の三つ編みを軽く揺らした。
「お前にそっくりな奴の事だ」
嫉妬してくれればいいと思う。しかし彼にはそのような思いは通じない。ここもあの独占欲丸出しな彼とは大違いだ。
「ああ、雲雀くんの事ですか」
爽やかな風と引き換えにリボーンの中はどろどろである。
欲望のままに動きたいのにそうはならない。
「いい天気ですね」
「今さらだろ」
名前のように掴み所がなく、だがいつも側にいてくれる。そんな彼だからこそ今の状態のままでいることを許している。
彼だからこそ、リボーンは此処にいる。
リボーンはせせら笑った。
風も笑った。

(ずっと貴方に首ったけ!)


〈end〉


ヒバツナ同志なぽん酢にずっと書け書け言われていたリボ風です。無事完成して良かった。

2011.02.04
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