4月(April)にはご用心
「雲雀さんなんか大嫌いです!!」
「もう一緒になんか居たくないです!!」
「別れましょう!!」

そういうが否や沢田は物凄いスピードで雲雀の元から走り去った。
残された雲雀といえば自身の置かれた状況が全くわからず、椅子に座ったまま非常に珍しい呆け顔を晒していた。
「……は!?」

状況を説明しよう。
ここは応接室。ここの部屋の持ち主、雲雀恭弥と沢田綱吉は恋人である。
もうすぐ付き合って2ヶ月となる春休みの今日、突然泣きながら応接室に沢田が入ってきて、冒頭のような台詞を言って、出ていってしまったのである。
ちなみに、心当たりは雲雀には全くない。
(まあ確かに、春休みだからここ2、3日は会っていなかったけど)
だが心当たりは、と言われてこれくらいしか思い付かないし、それが冒頭の沢田の台詞の理由だと言われてもしっくりこない。なので、いきなり別れを告げられた雲雀は認めるもなにも、一体なにが起きたのかさえわからなかった。
(ちゃんと説明してもらおう)
元来頭を使うより先に手を出す方が得意なのだ。あれこれ考えるより行動あるのみ。
ガタンッと盛大な音を立てて雲雀は立ち上がったかと思うと、やりかけの書類を残して、沢田を追いかけた。
さすが風紀委員長の肩書きを持つだけあって、あっという間に沢田を見つけた。
(というか、草食動物が行くところってここしかないだろうし)
沢田は自分の部屋の布団の中にいた。
雲雀は窓から入ってきて、沢田の近くまで行った。
「沢田、さっきのはどういうこと?」
「ご…ごめんなさい。ごめんなさいっ……」
布団をめくると、思った通り、沢田は泣いていた。
「さっきのじゃあ納得いかないんだけど」
「ごめんなさ……ち、ちがっ……うんです!」
「違うって何が?」
「り、リボーンが……」
沢田の説明によると、リボーンが今日の朝、出来たばかりの試作品の弾の効果を試してみようと、沢田を実験台にしたのだ。
その弾に当たると、思ったことと逆のことを言ってしまうらしい。
(赤ん坊…咬み殺したいな)
その説明を聞いた雲雀がリボーンに殺意を覚えたのは言うまでもない。
「ところで、その効果はいつまで続くの?」
少し落ち着いた沢田が恐る恐る口を開いた。
「き、今日1日です…なんでも4月弾といって、4月1日にしか効果が出ないみたいなんです…」
(ふーん…エイプリルフールだからって質の悪いいたずらだな、赤ん坊…)
次の日、リボーンに襲いかかろうとする雲雀を止めようとする沢田が見られたとかそうじゃないとか。

〜オマケ〜

「そういえば、思ったことと言ったことが反対になるなら、最初から反対で言えば良かったじゃない」
雲雀に抱き締められている綱吉は苦しいと呻きながらいった。
「うぅ…いくら心の中でも、雲雀さんのこと嫌いって思いたくなかったんです。」
雲雀は少し驚きながらも静かにいった。
「…口で言ってたけどね。思いっきり…」
「え…それは…その…」
慌てる様子が可愛くて、雲雀は思いっきり綱吉を抱き締めた。
「雲雀さん…苦しい…」
「…もういいよ。許してあげる」
すると、綱吉の顔がパアッと輝いた
「本当ですか?!雲雀さん大好きです。」
「うん…知ってる」
なんだかんだでやっぱりバカップルな2人であった。

〈end〉

2009.04.01
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