七夕
「ヒバリさん」

「ん」

「今日は七夕なんですよ?」

「ふーん」

ふーんと言われて沢田は言葉を無くす。まあこの人がこういうことに興味がないことは解っていたが、なんとなく寂しいものがあった。

「で、何書けばいいの」

ふと見るといつの間にか雲雀の手には短冊が握られていた。いつの間に手に入れたのだろうか。

「何でもいいんですよ」

「沢田はもう書いたの」

「はい。もうそりゃばっちりと」

沢田はこれぞとばかりに自分の持っていた短冊を振る。因みに短冊は一枚ではない。沢山、だ。

「見せて」

「…え、」

い、嫌ですよと沢田は少し赤くなって後ろに下がる。

「僕に見せらんないわけ」

「いや、そういう訳じゃ」

ないんですけどやっぱり自分の願い事を他人に見られるのはいい気はしないんですよでも別に見られてやましいものは一つもないですよと沢田は一息で言う。

「じゃあ見せてよ」
雲雀は沢田が弱いのを知ってわざと耳元で言う。
ひっと一瞬体を震わせた沢田は真っ赤になりながら、しかし譲らなかった。

「雲雀さんのを見せてくれるなら…」

「ふーん…」

「あ、やっぱりいいです」

「約束は守りなよ」

「わーわー見せないでください!!」

色々やっているうちに、沢田の沢山ある短冊はばらまかれてしまった。


それから暫く慌てて拾う沢田とそれを手伝うふりをしてさりげなく内容を読む雲雀の抗争が繰り広げられていたとか。


―ずっと雲雀さんと一緒にいられますように…

―沢田が笑ってればそれでいい


2009.07.07
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