Ready Tsuna?
「はあ…」
俺はどこまでダメツナなんだろう……。
もう何度もヒバリさんに告白しようとしているのに、いつも肝心なところでごまかしてしまう。
というか男を好きになる時点でもうダメツナである。最早乾いた笑いしか出てこない。
俺は沢田綱吉、中学二年。あだ名はダメツナ。
あだ名からわかるように、なにをやってもダメな俺が、こともあろうに恋をした。
今まで笹川京子ちゃんが好きだったけど、それは恋ではなかったらしい。
しかも俺の好きになった相手は……。
「なにブツブツ言ってるの」
噂をすればなんとやら。ご本人様の登場である。
そう。俺の好きな人は、こともあろうか並盛最強最恐はたまた最凶の風紀委員長雲雀恭弥その人である。
「ていうか、なんで雲雀さんがここにいるんですか!?」
「何って、自分の学校の屋上に用もないのに来ちゃいけないわけ」
そうだった。ここはヒバリさんの所有地の一つである並盛中の屋上でした。
「い、いえっ。では、失礼しまー」
そろり、とその場を去ろうとしたら、思いっきり肩を捕まれてしまった。
「ねぇ。」
顔がいつになく真剣です。怖いですヒバリさん。
「な、なんでしょうか…?」
「この前からなんなの。僕のまわりをうろちょろと…用があるなら、さっさと言いなよ」
いや…それが言えたら、苦労しませんなんて言葉が言える訳もなく、俺は笑って誤魔化すしかなかった。
「いえ…特に用はないです」
「嘘だね」
天下の風紀委員長様はそんなことであっさり引き下がってはくれなかった。
「ぎゃー!トンファーしまってください!俺はただヒバリさんに告白しようとしてただけなんです!!いつも失敗してたけど…だから、見逃してください!」
言ってからはた、と気付く。俺はどさくさに紛れてとんでもないことを口走ったのではないだろうか。
この場では微塵も告白するつもりがなかったのだが、シチュエーション等色々考慮して言おうと頑張っていた苦労が水の泡だ。
俺が衝撃の発言をしてから、反応がないヒバリさんをおそるおそる見てみた。
「それ、ホントなの?」
トンファーが光ってるし、目が怒ってますヒバリさん。
「すいません!今のは聞かなかったことにしてください!」
眼からの殺気だけでも既に殺されかけている。
俺は色々覚悟して目をつぶってしばらくしたけど、なにもされてないらしい。
疑問に思い、目を開けた。その瞬間なにかが口に触れたような気がした。
一瞬何が起きたのかわからなかった。しかし時間がたつにつれてだんだん状況を理解した。まさか。
「き、キスー……?」
「キスしたくらいで驚かないでよ。どう?好きな僕にキスされた感想は」
もしかしなくてもからかってませんか。
「…もういいですっ」
ヒバリさんの馬鹿っという情けない捨て台詞を残して俺は屋上を後にした。
その際、屋上のドアを思いっきり大きな音で閉めたが気にしない。
そして屋上に取り残された雲雀は少し笑って呟いた。
「…ホント君は僕を飽きさせないよね」
それから、しばらくして雲雀と沢田がめでたく付き合うのだが、それはまた別の話。

<end>

2009.03.06
2012.01.08 加筆修正
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