役立たずな僕から花束を3
「催眠術……?」
骸の前で大泣きしてからしばらくしたある日俺はシャマルとリボーンに呼び出された。
そして告げられた真実に愕然とすることとなる。
「お前には催眠術がかけられていたんだ。それも強力のだ」
「え。まさかあっ」
そんな怪しげなことをされたら誰だって記憶に残るだろうに俺にはその兆しも全くない。そういうとリボーンに小突かれた。
「言っただろうお前のは強力だと。プロテクトがかかってたんだ」
中々解除出来なかったんだが骸とシャマルが頑張ってようやく解除する方法を見付けたんだ。
「そうなんだ。じゃあそれが解けたらヒバリさんに殺意を抱かなくて済む?」
「ああ。多分な」
多分という曖昧な言葉を使っていたが、それでも嬉しかった。治るかもしれない。汚れてしまった俺はもう元には戻らないけれど、これ以上ヒバリさんを傷付けずに済むのは嬉しい。
「で、どうすればいいの?」
リボーンはシャマルと顔を見合せいい放った。
「もしかしたら今以上に傷付くかもしれないぞ」
それでもいいのかと言われて俺は笑って答える。
「俺はヒバリさんのこと、好きでいたい」
ずきんと胸が痛んだ気がしたが、それも一瞬。すぐに忘れてしまった。
「じゃあそこに横になんな」
「ん」
シーツが引かれたベッドに横になる。目を瞑る。
後はリボーン達が勝手にしてくれるらしい。
きっと目が覚めたら、普通になれるかな。
なれるよ。きっと。
意識はだんだん遠退いていった。
そして直前に流れ込んできた記憶。これは。これは。


中学生の時、俺はヒバリさんが好きだった。純粋に憧れてもいたし、好きだった。
しかしヒバリさんと俺の関係はただの先輩と後輩。他人に興味がない彼にとって俺は関わりたくない人間だと思っていた。
「好きなんだ」
突然、前触れもなくヒバリさんからこう言われた時は心底嬉しかったと共に怖かった。彼がこんなことをいう筈がない。もし夢なら覚めてしまうのが怖い。そう思い、返事をする間も無く俺は彼の前から走り出してしまっていた。
そうして走って走って暫くして息が切れて立ち止まって深呼吸をした。これは夢じゃない。頬もつねり、これは現実なんだと確信した。
明日、ヒバリさんにあったら、好きだと言おう。
そう思いながら歩いていた俺は油断していたのだ。
次の瞬間、暗がりに連れ込まれて、ろくに抵抗も出来ず、俺は犯されたのだ。
誰かもわからないやつに。
そして犯されながらも自分がどうしてこんな状況に陥っているのかわからず、ただ大嫌い、死ね、と呟いていた。
「次期ボンゴレボスの綱吉君。どうしてこんなことになっているのか、わかる?」
「あんたらのせいだろ、」
殺意と恐怖心を抱きながら答える。
「違うよ。君がヒバリに好かれたからだよ」
俺が?ヒバリさんに?
そんなわけないのに腰を揺すられて理性も吹き飛んでいってしまっていたのかもしれない。そうなんだと納得してしまったのだ。
そして俺は見事に奴等の催眠に引っ掛かり、殺意の対象を彼に向けてしまったのだ。
[ 10/12 ]
(*Prev│表紙│Next#)
top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -