afternoon tea2
ヒバリがバンッと勢いよく開けたドアをパタンと綱吉が閉める。閉め切ったこの空間、所謂密室に綱吉とヒバリの二人しかいないというのが信じられなかった。
「そこ」
「はいっ!」
ヒバリはくいと顔をソファの方へ顔を向ける。そこに座れといっているらしい。
とりあえず逆らってはいけないと綱吉がソファに座ったのを見るとヒバリは大人しくしていてと言ってドアの向こうに消えた。
残された綱吉は訳がわからなかったが言うとおりにしないとこの先真っ暗だとしっていたので静かに座って待っていた。膝の上に乗せた手は恐怖で汗ばんでいた。
「ん」
いつの間にかヒバリが自分の前に立っていて箱を差し出していた。
「…?」
開けろ、ということなのか。
とりあえず受け取って中を開けてみたら甘い香りが部屋をつつんだ。
「これ…」
箱の中身はクッキーだった。
どうやらクッキーの詰め合わせの箱だったようだ。
どうしてこんなものをと綱吉が箱から顔をあげたらヒバリは口を開いた。
「今日風紀検査で没収したんだ。捨てようと思ったけどちょうどいいから君、食べなよ」
紅茶は完備されているから、といってまたヒバリは消える。
(風紀を乱すものを俺なんかが食べちゃっていいのだろうか…)
綱吉がこう思ったのはここだけの話だ。
「…」

というかこの状況はなんだ。捨てるのが勿体無いから俺に食べろと。こんなにたくさん。
嗚呼でも食べないと咬み殺されてしまう。でもこんな量一気に食べれる訳がない。

好意なのか罰なのかわからないと綱吉は唸るが答えは見つかる訳がない。
とりあえず言われた通り戻ってきたヒバリから紅茶を受け取ってクッキーを食べることにした。
「…」
「…」
応接室には紅茶をすする音とクッキーを食べる音しかしない。
ヒバリは甘いものが苦手なのか食べるスピードは早くない。
対して綱吉はクッキーのあまりの美味しさに感動して涙目になりながら凄い勢いで食べている。
しかし、たくさんあるクッキーを一気に食べきれるほど綱吉の胃袋はでかくはない。
だんだん食べるスピードが落ちついには綱吉はダウンしてしまった。

「ヒバリさ…も…無理…」
綱吉の必死の訴えにさらりとヒバリは残酷な返事を返した。
「うん。誰もこんな量一日で食べろとは言ってない」

さらには「だから食べ終わるまで毎日放課後応接室。いいね」とまでいい放った。

実はまだいっぱいあるんだとヒバリが口に出して言うことはなかった。

綱吉の頭の中にはこれから毎日、という言葉がエコーのように響き渡っていた。

まるで死刑を宣告された被告のような顔をして。

一先ず綱吉は自分の命のカウントダウンを始めることにした。




(午後は貴方と甘い時間を)
(命がけで過ごさせていただきます)



〈end〉

(某ゆか様に捧ぐ)

2009.07.23.
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