蜘蛛に捕らわれた蝶
「…ハァ…ハァ…」
ダダダダ…


「獄寺くんっいくつ?」


「9秒2です…」






「あー!!まただ…」

「10代目!気にしないで下さい!きっと俺の計り間違いです!」


獄寺くんはそう慰めてくれるけど、俺は計り間違いなんかじゃないってわかってる。



何故なら、さっきからタイムが全く変わってないからだ。


「10代目…そろそろ休まれた方が…」


「…もう一回やる。」

「10代目…」


先?#ez0211;ゥら、俺は獄寺君に50mのタイムを計ってもらっている。


体育祭で徒競走で一位をとるために。



俺と一緒に走る人は、俺とタイムがどっこいの人ばかり。


なら、8秒台になったら、一位は確実と言っていい。


「ところで、なぜ徒競走で一位になりたいんですか?」


「一回なってみたいから。」


これも間違ってはいない。

だけど、本当の意味は違う。


自分で決めたんだ。

徒競走で一位になったら、ヒバリさんに告白するって。



自分に自信がついたら、結果は見えているけど、いいたい。
体育祭までもう時間がない。



「獄寺く…と…」



「10代目っ」



何十回目かわからないもう一回を繰り返したら、急に目の前が真っ暗になった。
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