それを応接室で聞いていた雲雀はがたん、という大きな効果音とともに立ち上がり、沢田のいる教室へ向かった。
教室の扉を勢いよく開け、帰り仕度をしていた沢田の手を無理矢理引き、教室を後にした。
向かうは応接室。
「ヒバッ」
「煩い。」
「い…痛いです。」
強く手を引きすぎていたらしい。
雲雀は手を離すと、応接室の扉に沢田を押し付けた。
「いった…」
「何がしたいの」
「…はい?」
「いつもいつも僕の視界に入ってきて、挙げ句の果てに夢にまで出てきて…」
「それは…」
「それは俺がヒバリさんの視界に入ってくるんじゃなくて、ヒバリさんが俺を視界に入れているんではないですか…?」
雲雀ははっとなって、沢田から離れた。
そういわれればそうかもしれない。
視界に入ってくるのではなく、自らが視界に彼を入れていたのだ。
だとすると、夢の話も、自らが望んで夢の中に、沢田を出していたということになる。
だけど、なぜ…?
「もしかして、ヒバリさん俺のこと好き…とか?
ヒッなにいってるんだろ。す、すみません…!!」
好き…
『どうみても委員長が沢田に好意を持っているとしか思えません』
…そうか。
ギュッ
雲雀は沢田を力強く抱き締めた。
「ヒバリさん…く、くるし…」
「沢田は僕のことどう思ってる?」
「えっそっそれは…」
「好き?」
「あ…あわわわ…えっと…はい。」
「…そう」
そうか。
今まで自分の気持ちに気付かなかった、いや、気付きたくなかったから、夢の中に彼を出して、自分の気持ちに気付くように彼に『好き』って言わせようとしていたんだ。
「…ヒバリさんは俺のこと…」
勿論…
好きだよ―…
(沢田も僕と同じ夢見たんだ?)
(同じ夢を見るなんて、なんか運命かんじちゃいますね…)
くすっ
(そうかもしれないね)
(倖梛様に捧ぐ)
2009.04.23
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