夢の中でも2
それを応接室で聞いていた雲雀はがたん、という大きな効果音とともに立ち上がり、沢田のいる教室へ向かった。


教室の扉を勢いよく開け、帰り仕度をしていた沢田の手を無理矢理引き、教室を後にした。


向かうは応接室。


「ヒバッ」



「煩い。」


「い…痛いです。」

強く手を引きすぎていたらしい。

雲雀は手を離すと、応接室の扉に沢田を押し付けた。



「いった…」



「何がしたいの」



「…はい?」



「いつもいつも僕の視界に入ってきて、挙げ句の果てに夢にまで出てきて…」


「それは…」


「それは俺がヒバリさんの視界に入ってくるんじゃなくて、ヒバリさんが俺を視界に入れているんではないですか…?」


雲雀ははっとなって、沢田から離れた。


そういわれればそうかもしれない。


視界に入ってくるのではなく、自らが視界に彼を入れていたのだ。


だとすると、夢の話も、自らが望んで夢の中に、沢田を出していたということになる。




だけど、なぜ…?
「もしかして、ヒバリさん俺のこと好き…とか?
ヒッなにいってるんだろ。す、すみません…!!」


好き…


『どうみても委員長が沢田に好意を持っているとしか思えません』



…そうか。


ギュッ


雲雀は沢田を力強く抱き締めた。


「ヒバリさん…く、くるし…」


「沢田は僕のことどう思ってる?」


「えっそっそれは…」



「好き?」



「あ…あわわわ…えっと…はい。」


「…そう」



そうか。


今まで自分の気持ちに気付かなかった、いや、気付きたくなかったから、夢の中に彼を出して、自分の気持ちに気付くように彼に『好き』って言わせようとしていたんだ。




「…ヒバリさんは俺のこと…」



勿論…




好きだよ―…





(沢田も僕と同じ夢見たんだ?)


(同じ夢を見るなんて、なんか運命かんじちゃいますね…)



くすっ

(そうかもしれないね)





(倖梛様に捧ぐ)

2009.04.23
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