お呼びになったのは
「ひーちゃん」
「ひーちゃん!起きてよ!」
………
「煩いっ」
「ヒッ雲雀さん!スミマセンでした!」
起き上がると綱吉が必死に謝っている。いつの間にか机で寝てしまっていたらしい。
「ねぇ」
「はいっ何でしょうか!」
「ここに子供がいなかった?」
「子供ですか…?少なくともオレが来てからは来てませんよ。」
「そう」
「何でですか?」
理由を言うのは少し躊躇る。絶対この子は笑う。そう確信していたからだ。
「…プッ…ク…ッ」
ほら、言わんこっちゃない。
綱吉は笑いを堪えられなくなったのか転げ回っている。
「ひーちゃんって!ひひひひひーちゃん…ひひひ」
「ひが多すぎ」
「雲雀さんをそんな風に呼ぶひとなんかいませんよっ言ったら咬み殺されるのがオチだからひひひっ」
「だからひが多い」
今はいないが昔、一人だけいたのだ。自分のことをそう呼ぶ人が。
一回しか会ったことがないからどこの誰かわからない。
「ひばりっていうの?じゃあひーちゃんだね」
もう十年も前のことだ。
今思うと初対面だからそう呼べたのだろう。その頃から雲雀は並盛で恐れられていたから。
未だに笑い続けている沢田にトンファーで一発殴った後、空を見上げ仰ぐ。
名前もどこにいるかもわからない。顔もうろ覚えだが、唯一覚えているのが、そう。
目の前で今度は痛みに悶えているその子のような―――


―――ハニーブラウンの髪の毛。


「ひばりはひーちゃんでつなよしはツナなんだよ」

〈end〉
2009.10.19
ただ「ひーちゃん」って言わせたかったために出来た物。
お粗末様でした。

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