「とりっくおあとりーと!」

夜中に突如訪れたしょうすけの第一声は、ハロウィンのお決まり文句だった。

「そうか、今日はハロウィンだったね。」
「うん♪」

狼男だろうか?しょうすけは大きな耳と、尻尾を着けている。

「それ、可愛いね。」

そう言うと、しょうすけの顔はボッと赤くなった。感情に素直なところが相変わらず可愛い。

「おいで。お菓子をあげよう。」
「!うんっ♪おじゃましまーす!」

優しく手を引くと、しょうすけは喜んで入った。




「そこに座っていなさい。」
「はぁい!」

今日がハロウィンということはさっき思い出したばかりだが、菓子は前々から用意をしていたりする。ジャックオランタンをモチーフにした、南瓜のクッキーを手づくりしておいた。
机に出すと、しょうすけの目が爛々と輝いた。

「わぁ!可愛いー!」
「ふふ、そうかい?夜だから、食べるのは一個にするんだぞ。後は包んであげるからね。」
「はーい!」

相変わらず聞き分けが良い子だ。一個をとり、もくもくとおいしそうに食べる。まるで小動物の様。

「…。」

余りの可愛さに、じっと見つめてしまう。いつも以上に可愛く見えるのは、きっと耳と尻尾の所為…いやお蔭だろう。

「?叔父さんどうしたの?ねむたい?」
「ん?ああいや…そんな事は無いよ。君が可愛くて、ついね。」
「…お、叔父さん…////」

また真っ赤になった。心なしか、着け耳まで垂れたように思える。

「…ねぇ、しょうすけ。」
「?なぁに?」
「君がさっき言った“トリックオアトリート”の意味、知ってるかい?」
「…ううん。僕、知らない。」
「じゃあ教えてあげる。おいで。」

手招きをすると、しょうすけは四つん這いで私の横に来て座った。

「どういう意味なの?」
「うん。あのね…」


私は言葉の代わりに、キスをした。

「んっ…///」
「こういう意味。わかった?」

唇を離すと、とろんとした目で私を見つめた。

「…叔父、さん…」

ほんやりした表情のまま、しょうすけは小さい声で言った。


「もっと…///とりっくおあとりーと…////」


「…本当に可愛いね、しょうすけは。」

彼のおねだりには本当に弱い。
私はしょうすけに覆いかぶさり、今度は深く、キスをした。




――――――


「ねぇ、みきのり君は知ってる?とりっくおあとりーとの意味!」
「ううん、知らないよ?」
「あのね、これを好きな人に言うとね、エッチなことしてもらえるんだって♪」
「えっ本当…?!////」
「すごいよね///えへへ///」



「("えへへ"じゃねぇよ…;何処で聞いたんだあいつ///;)」

二人の会話を陰で聞いていたゆうまは、一人真っ赤になった。



しょうすけがトリックオアトリートの本当の意味を知るのは、しばらく先の話だそうな。


おわり。


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