しょうすけ君。

元気にしているかな?
先生…いや、もう先生じゃあないんだから、「私」というべきだね。私はやっと車椅子生活に慣れて、なんとか暮らして行けるようになったよ。


…君には謝らなければいけないことが、二つあるね。


まず、約束を破ってしまったこと。

あれは、君が教室で泣いているときだったね。

訳を聞いたら、君はいじめられていると言った。

私はとても悲しかった。どうして君のような優しい子が、いじめられなくちゃいけないのかって。
いじめた子の名前を聞いても、君は言おうとしなかった。それだけ優しいのに…って。

だから「卒業までずっと守る」と、指切りげんまんをしたね。抱きしめたとき君が流した涙は、忘れられないよ。

…なのに、私は君の元から去ってしまった。

裏切られたと…思っただろうね…。



…あと、君は知っていたかな?
私が、君と田中先生の関係を知っていたということ。

…私はね、君を救いたい一心で、必死に田中を説得しようとしたんだ。
…嘘に聞こえるだろうけど、本当だよ?


…でも今思えば、説得なんて生温かった。

田中の君への執着を、甘く見ていた。

もっと無理矢理にでも、田中を引き離すべきだった。


…事故で下半身不随。
それくらいのことで君から離れてしまった。

私はなんて馬鹿なんだろう。

「守る」と言うなら、たとえ四肢が無くなっても君から離れるべきではなかったのだ。


後悔しても、したりない。


ごめんね…
本当に、ごめんね…





…しょうすけ君。

こんな私を赦してくれとは、言わない。
ただこれだけは、お願いだ。


優しい君を、どうかいつまでも、失わないでほしい。


それがいつか君の、大きな力になるから。



どうか、



どうか…
いつまでも、元気で。




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