「あ。」


しょうすけがアメリカに行ってすぐのこと。
部屋が汚くなっていたので部屋を掃除した。


昔はもっと素直だったんだ。
いつからかしょうすけを避けるようになってしまった。一緒にいることが恥ずかしい、だなんて今更ながら。

「最悪だったなぁ。」


しかし本当に「今更」な感情だ。部屋には昔しょうすけと遊んだときの痕跡。

しょうすけの好きな花を赤いマーカーでぐるぐる囲んだ図鑑。
そしてその花の押し花。

凄く幼い頃の忘れ物を届けるのには随分遠いところに行ってしまった。


きっと出逢うのが早すぎたんだ。


一緒に花を採りに行ったときに繋いだ手の感触が不意に思い出される。

何度目の後悔だろう。

「ばっかじゃねーの・・・」

目尻から誰にも見せない涙が零れる。
きっともっと仲良く唯一無二の存在になってしょうすけを清々しい気持ちでアメリカに送ることができていたら・・・。


もしかしたら好きだったのは自分だけなのかもしれないという感情まで浮かんでくる。一度だって気持ちを確かめたことなんて無いのだ。

「う、ぅう・・・っ・・」

悔しいような悲しいような懐かしいような気持ちが混ざり胸が苦しくなる。
きっとしょうすけについては後悔の塊なのだ。


好きだったのだ、たまらなく。守りたかった。いつまでも自分が一番の友達でいたかった。いるつもりだった。
しょうすけが全世界から嫌われて自分だけがしょうすけを好きでいればいいと思った。


しかし、もう、ここには居ない。この押し花も図鑑も届けられない。


「アメリカ、かぁ。」

ゆうまは図鑑に押し花を挟みきれいに本棚に立て、部屋の隅のギターを見つめた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ゆうまは自分の唯一誇れるギターを使ってしょうすけのところにいこうと考えた。

しょうすけにはたくさんのことを誉めてもらったがまだギターをきちんと披露したことがないのだ。

アメリカにいってしょうすけを驚かせるギターを弾く。


そしてその頃にはきちんと自分の気持ちを伝えられるようにして、あの押し花も持って。

「まずはギターだな。」

ゆうまはその小さな肩にストラップを掛けた。



fin



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サクラノミヤビ様、素敵なユウショウありがとうございました!

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