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育ちの良い自分たちと、学のないそれ。
同じ人間だと、根本的に理解していなかったのかもしれない。
それでも、愛着が湧かなかったというわけではないけど。


「おい、どこにいる」

知り合いの集まるパーティーで薬を盛られた。金や権力を持つということは、無条件に恨みを買うものだ。違和感を覚えてすぐに帰宅し、すぐに医者に調べさせた。

盛られた薬というのは媚薬だという。他の女に渡すつもりのドリンクを間違ってこちらによこしたのだろうか。まさか毒ではあるまいかと心配していた分、ほっとする。大袈裟に騒がなくてよかった。
薬自体は少し休めば抜けるものらしく、そんなものならば構わないかと思ったものの身体はどんどんだるく、熱っぽくなってくる。寝室に行くのも億劫で、運ばせるためにそれを呼んだ。

「早く来い。命令だ」

昔から家には数人の奴隷がいた。何でも言うことを聞く人間がいるのは当たり前のことだったが、特にそいつは古株で、わりと気に入っていた。人見知りの過ぎる自分が肌に触れることを許すのはそいつくらいで、だから酷使していたような気もする。

「申し訳ありません」

能面のような表情の向こうに感情があるだとか、そんなことはほとんど意識していなかった。そいつが疲れるだとか、機嫌の良し悪しの存在だとかも。
だから、警戒するという考え自体がなかったのだ。

「体調が悪い。部屋まで運べ」

その一言で、身体は浮き上がって勝手に移動する。そういうものだ。今まではそれを人間が行っているというのも忘れていた。そう、今までは。



「っ、ふ」

人肌に触れている。それだけでじわじわと身体が火照る。そこから溶け出しそうな感覚。だからといって今こいつから離れたところで立てそうにもなくて、八方塞がりだ。

「寝室の、ベッドでよろしいですか」
「、あ、ああ」

低い声が近くで響く。移動のたびに服が擦れて、羽でくすぐられるようなゆるい快感がじわじわ私を蝕む。

「っ、はぁ……」

それでもまだ、この人間に人格があるというところまで追いついていなかった。興奮を兆してきた己に戸惑いはしたものの、羞恥すらまともに覚えなかった。

「到着しましたよ」

ベッドに降ろされ、後ろ手に部屋の鍵をかけるそいつを見るまでは。



「何、を……しているんだ」
「いい機会だと思いましてね」

近付いてきた男に内腿を撫でられる。ぞわ、と広がる快感。いつもと違う声音に、嫌な汗が流れる。

「犯してやるよ」

服の上から胸元に指が這う。爪先で押しつぶすように擦られると、今までにない快感がこみ上げてくる。

「ひ、ぁ」
「もういいよ、あんたに使われるのに疲れたんだ。クビにするなり殺すなり好きにしろ」
「偉、そうな、口をきくな……! お前をどうするか、は、私が決めることだ」

なんとか睨みながらそう言うものの、もう身体は言うことを聞かない。それでも、奴隷風情にそんな口を聞かれるのは許せなかった。

「さあ、本当にそうかな。今の自分の立場をよく考えてみろ」

さしたる抵抗も出来ずにシャツのボタンは外され、身体が露わになる。胸に指が近づくと、期待すらしてしまう自分の浅ましさに、薬のせいだと首を振る。

「こんな、主人につけ込むようなマネが、許されると思っているのか」
「つけ込む? こうして欲しいって顔してるくせに?」

胸を摘まんで、指先で揉み込まれる。
じんじん痺れるような感覚が腰にまで走って、ずくずくと爛れた快楽に侵される。

「尊厳もプライドも全部ズタズタに踏みにじってやるよ。あんたが今までそうしてきたようにな」