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すごい人型ロボット×製作者の博士

最初の方の地の文は雰囲気的な説明なので、エロが読みたいひとはざっくりとばしてもたぶん大丈夫です。





室温をコントロールされた部屋の中に居てはわからないが、外はもう春らしい。庭で育てたという花を生けながらゼロがそんなことを言っていた。

ゼロというのは私の助手であり、この屋敷で唯一の全自律型人工知能を組み込んだヒューマノイドだ。私がロボット研究を始めてから最初に作った試作品でもあり、各分野で新しい機能を身につける度アップデートを重ねてきた。一台のヒューマノイドがここまでの能力を持っているという例は他にないだろう。

計算や情報収集、分析能力はもちろん、家事もこなすし夜の相手──これはあまりにその……気まずすぎて試作の一度きりしか行ったことはないが──他にもほぼ万能と言っていい出来だった。当たり前のように思考や感情と言えるほどのものも持ち合わせている。
国の機関から独立して研究所を構えた私は、ゼロと幾つかのコンピュータを相手にのんびりと好きな研究をして過ごしていた。といっても、最近ではほとんどの複雑な思考を人工知能に外注してばかりだったが。

「博士、また考え事ですか」
「ああ、すまない。いや、君は本当にいい出来だと我ながら思ってね」
「確かに博士は素晴らしいですが、いい加減お休みにならないと私たちと違ってあなたには肉体があるのですから」
「わかっているよ、適当なところで切り上げるから」

数日に一度は医療用の検査波を受けて異常がないことを確認して見せているのに、ゼロは心配性である。ロボットに存在するのは感情ではなく反応だということはわかっているものの、それでも根を詰めた作業の合間に他人の気遣いを受けるのは心地良かった。

「異常がないとはいえストレス値は基準を上回っていましたし、ここ数日は先ほどのように集中力を欠かれる場面も見られます。一度お休みをとられた方が良いと思いますが」
「それもいいかもしれないな……仕事は有能な君たちに任せれば良いのだし」

善意からの忠告であろう言葉に軽口を返すと、ゼロは一瞬動きを止めて私に向き直る。

「とにかく、今日はそろそろお休みください」
「ああ、わかったよ。おやすみ、ゼロ」

いつに無く強い口調に半ば押されるように、私は寝室へと戻った。
そこで、記憶がぱたりと途切れた。