金の猫に甘い夢を



マスタングという名を聞いた事があるかい?
ん?ないって?
そりゃお気の毒。
お客さん、あんた死んだよ、たった今。
この街でマスタングを知らないって事はそれだけヤバイことなのさ。
何がやばいか?
おいおい、あんたこの国でそれを聞くのかい?
イタリアだよ。
イタリアといえば
愛と太陽とピッツァ、そして

MAFIA

だろ。

ん?もっと聞きたい?
まあ、知っといた方がいいだろうね。
おや、マティーニかい。
あいよ。
さて、なにから話そうか。
まずマスタングだ。
マスタングはここら一帯のマフィアのBossみたいなものだね。
もともとはミセス・クリスマスがBossだったんだけどね。
彼女はいかんせん自由を好むマダムだったからねぇ。
息子にここら一帯を任せてトンズラさ!!
今頃スペインらへんでフラメンコでも踊ってるんじゃないかな。
あぁ、でマスタングだったね。
おいおい、そんなにせかすなよ。
なんだい?気になることでも?
………ふーん、まあいいよ。
マスタングはもともと政治に精通していてね。
その頃のコネクションもあってか、後ろ盾は完璧だよ。
やつはみるみるうちに力をつけていった。
優秀な部下も多いしね。
まず鷹の目。彼女に目をつけられたら最後。
夜道に気をつけるどころじゃない。
常に頭のど真ん中を狙われてると思ったほうがいい。
まあ、助かったやつなんていないけどね。
あとはジャクリーン。
ん?女ばかりなのかって?
ああ、まあ、うん。
ジャクリーンは特に暗殺を得意としててね。
飄々と構えてる癖に背を向けると首をかっきられるよ。
そして最後は猫。
ん?猫について知りたいって。
まあ、簡単に言えば情報屋だよ。
別名ハッカーってね。
あと、猫には手をださ………
ん、おや、なんだい?
銃を突き付けられる覚えはないけどね。
ああ、何。
あんた同業さん?
なのにこのシマのこと知らなかったわけ?
………ほう
ロシアのミス・アームストロング、ね。
俺はてっきりシンのリン・ヤオだと思ってたんだけど。
ああ、負けちまったじゃん、あんたのせいで!!
俺、リンの手のものって方にかけてたのに!
ったく、ロイのやつ知ってやがったな。
ああ、ごめんごめん。
で、なんだっけ?
マスタングの弱点?
猫の居場所?
なに、あんたあの噂信じちゃってるわけ?
猫がマスタングの愛人?
全くいったい誰が………案外、あいつ自分で言ってそうだな。
まあ、いい、か。

さて、君。

そろそろチェックメイトだ。

文句は君の後ろにいる美情夫に言ってくれ。


じゃ

チァオ!!!
「猫には手をだすな、命が惜しければ」















「遅かったなロイ」

「ああ、すまないね。あの議員と揉めてしまって」
「ふーん、俺はてっきりジャクリーンと浮気かと」
「やめろ、鳥肌がたったぞ」
「あはは、にしてもお前知ってただろ」
「何をだい?」
「その仏さんが、ミス・アームストロングの諜報員だってことを、だよ」
「ああ、まあ情報は入ってたよ」
「糞ったれ」
「まあまあ、そう毛を逆立てるなよ猫君」
「………ひっかくぞ」
「おや、是非。ベットの中で私の背中にならね」
「……………ふん」




金の猫に甘い夢を。





2010/05/20/web


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