宝物 | ナノ





「ふわあぁ…綺麗です…」
「そりゃ良かった」
「グレイ様!!早く遊びましょう早く!!」

キラキラとしてさんざめく海で、ジュビアは声を上げた。隣には浮き輪片手に子供かよと笑うグレイ。

「気持ちいいです〜♪」

既に海に入ってバシャバシャと遊ぶジュビア。蒼い透明な海水に、彼女の真っ白な肌はとても良く映えた。
一方グレイは手に持っていた浮き輪を海に放り投げ、自らも海に入り始める。子供のようにはしゃぐジュビアの元へと泳いでいった。

「お前、こんな深いところまで行って大丈夫かよ」
「グレイ様ジュビアは水ですよ?それに大海の異名も持ってるんです、こんなの全然大丈夫ですよ!!」

グレイでさえ足のつかない位置でジュビアは波で遊んだり泳いだりしている。グレイはこんなときに立ち泳ぎも何だからと、浮き輪に掴まって楽に浮いていた。

「グレイ様見てください!イルカ作りました!!」
「おぉ、すげぇな」

遊ぶジュビアをグレイがぼんやり眺めてると、ジュビアは魔法で水をイルカの形にかたどった。グレイはそのキレイな形に、造形魔導士として称賛の拍手を送った。
するとジュビアはグレイ様に誉められた!と、どんどん海の生物を作って、泳がせていく。
ヒトデやカメ、絶対にこの辺にはいないであろうペンギンまで。

「おいおい、オレ形無しじゃねぇか」

そう言ってグレイは浮き輪から手を離して造形のポーズを取る。

「アイスメイク!」

今度はグレイが色々なものを造り出した。
サメやシャチ、絶対にいない淡水魚などを、次々と造る。
といっても静の造形であるグレイの魔法は動きはしない。だが、一つ一つの精度はジュビアより上だった。
回りからわぁっと驚きの声が上がる。

「む、やりますね流石グレイ様です」
「負けらんねぇっつの」
「行きますよ!!」
「おう!アイスメイク…」

顔を会わせてニッと笑いあった次の瞬間、ジュビアは鯨を、グレイはジンベエザメを造り上げた。
瞬間、回りから歓声が上がる。

「いいぞ兄ちゃんたちもっとやれー!!」
「もっとすごいの見せてくれー!!」
「イベントか何かかー!?」
「もっとつくってー!!」
「ねぇちゃん色っぽいなー!!」
「お兄さんかぁっこいーい♪」
「どこのギルドだー!?」

わぁわぁとどこからともなく上がる声に、自分たちが余程目立っていたことに初めて気付く。
それから、何となく可笑しくなって二人で笑い合うと、バッと観客となっている方へ向き直る。

「収穫祭ん時みてぇだな」
「そうですね」

ジュビアがクスクス笑いながら自分たちの上に水でアーチを造る。
それに向かってグレイが造形のポーズを取る。

「ジュビアたちは」
「オレたちは」

イイィとグレイの魔法が発動する。

「妖精の尻尾だ!」

その声と共に、頭上のアーチにFAIRYTAILと言う氷の文字が出来上がる。
瞬間、この日一番の歓声が上がった。





後日。

「一体何やって来たんじゃお前さんら…」
「えっと…」
「遊んでただけだったんだが……」

ギルドのリクエストボードに、グレイとジュビア宛の依頼が殺到した。




輝きの下
ー光る滴に魅了されるー



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Stellamareの牧梨様よりキリリクでグレジュビいただきました!!

きゃあああああもう素敵なにこれ!!!

本当にありがとうございました!!