何気ない光景
※桐皇緑間設定
「緑間は真面目やなぁ」
パシュッとボールが綺麗な弧をえがいてゴールに入ると同時に、今吉が声をかけてきた。
「…今吉先輩」
「きっつい練習が終わったと思ったら、自主連やろ?青峰と大違いやわ」
「人事を尽くすまでです」
「ええことやな」
「あんま無理せんどきぃな」といって今吉は帰っていった。
緑間は毎日毎日、かかすことなく自主連をしている。ひたすら3P練習だ。
今日も自主連をしていたわけだが、当たり前と思っていることを誉められても嬉しくはない。当たり前なのだから。
パシュッ
緑間はまたゴールにボールをほおった。ボールは綺麗な弧をえがいてゴールに入る。
すると、どこからともなくドリブルをする音が聞こえて、乱雑にゴールに叩きつけられた。
「!」
「よぉ緑間。まだやってんのか」
「…青峰」
華麗に着地して、ヘラっと緑間に笑いかけるのは、桐皇学園バスケ部エース、青峰大輝だ。
青峰は緑間に近寄る。緑間は眉間にシワをよせた。
「お前、部活に出ていないのに何故ここにいる」
「あ?お前を待ってたからに決まってんだろ。で、お前おせぇから見に来たら案の定まだ練習してて、うずうずしたからダンクしただけ、だ。」
「…一緒に帰るなんて約束した覚えはないが」
「俺が決めたんだよ。いいだろ?家も近いし」
「………」
緑間はさらに眉間にシワをよせ、青峰を睨み付ける。だが、はぁ、とため息をつき、床に転がっているボールをひろいだした。
「?」
「帰るのだろう?お前も片付けを手伝え」
「お、帰ってくれんの?やりぃ!」
青峰は喜んでボールをひろいだした。
何気ない光景が、
嬉しかったりする。