食べても良いですか?
「なぁなぁ緑間ぁ〜」
「嫌なのだよ」
「本当はしたいくせに〜」
「死ね」
今日は久しぶりにお互いの高校の部活が休みだったため、俺は青峰の家に来ていた。
青峰とは恋人という関係だ。なにかと手の早い青峰にはいつも困っているのだが、まんざらでもないと思い始めてる俺はいよいよ青峰色に染まってきたらしい。
まさに今は青峰の部屋で。俺は持参した本を読んでいるのだがつまらなかったらしく、ベッドでごろごろ雑誌を読んでいた青峰が誘ってきた。
青峰とするのは別に嫌ではない。だが、激しいのだ。恋愛は未経験だと言い張るアイツだが本当に未経験者の俺にはキツすぎる。いままで何度も言ってきたのだが青峰は聞く耳をもたなかった。ここまでくればわざとやっているに違いない。
「…いいだろー緑間ぁ。部屋のなかで二人きりなのにムラムラしねぇ男がどこにいるんだよー」
「ここにいるのだよ」
「なんだよお前ムラムラしねぇのかよ!!」
「まったく。というかいい加減しつこいのだよ」
そう言いながら本に視線を戻す。何か言ってくるだろう、と思ったが以外にも青峰はそれきり喋らなかった。不思議に思ったが読書に専念できるから俺もなにも言わなかった。
10分くらいして、まだ青峰は一言も喋らない。いよいよ様子が気になって、ぱたんと本を閉じ、振り返った。
「んっ!?」
「…やあっと振り返った」
振り返ったと同時に口付けをされる。どうやら黙っていたのは振り返り様にキスをするためだったらしい。
俺の頭をしっかりと掴みキスをする青峰。苦しくて少しあけた口からすぐに熱をもった青峰の舌が入ってくる。
「んっ、はぁ…あぉ、みねっ」
「っは、構ってくれねぇお前がわりぃ」
「にしてもっ、はげしっ」
「だから言ったろ?ムラムラしたって」
青峰は最後にちゅっと音をたててキスをするとやっと唇を離す。
はぁはぁと肩で息をすると青峰に引っ張られてベッドに乗せられる。
あっという間に目の前は青峰と天井で。
「……まったく」
「さ、いただくとするかねぇ」
ニヤリと笑う青峰を視界に入れながら、俺は飽きれ半分、今から与えられるであろう快楽を耐えるため、静かに瞼を閉じた。
食べてもいいですか?
(それじゃあ遠慮なく)
(いただきます)