※学パロです。
急にあなたとしゃべりたくて、
急にあなたの声がききたくて、
無意識に携帯電話をつかんでいた。
「…もしもし」
ぼそり、と聞きなれた低い声が聞こえた 。 あたしはなんだかほっとして、声が出な かった。
「なんだよ、自分から電話かけといて」
その声ではっと気がつく。 その、甘くかすれた声が、あたしを酔わ せていく。
「ごめ、ん…声、聞きたくて、」
「……」
毎日学校であっているのに、 毎日キスしたり抱き合ったりしているの に、 まだ、足りなくて、
「ねぇ…グレイ、」
「…ん?」
あいたい、 今すぐに、
「…あいたい、よ……」
その瞬間、電話越しにバタン、とドアが 開く音がして、「今、どこにいる?」っ て聞かれた、から、
「…あたしも会いに行く」
って答えて、電話をきってパジャマのま ま家を飛び出した。
しばらく走っても、グレイの姿はみえな くて、 会えないもどかしさがつのりにつのって 、 あたしはその場に座り込む。
「会いたい、よぉ…」
ポロポロと大粒の涙をこぼして、そう呟 くと、
「ルーシィ!」
バタバタと近づく彼の足音。 あたしは顔をあげると、急に唇に暖かい 感触がはしった。
「んっ…?」
「たくっ…!心配しただろうが…!」
そういってグレイはあたしを抱き締める 。
「グ、レイ」
「なんでおとなしく家で待たねぇんだよ !夜もおせぇし、心配しただろうが!」
「ごめ、ん」
「だから…」
グレイはあたしを抱き締めるのをやめる と、いつものニヤリとした笑顔に戻る。
「お詫びに、お前から、キスな」
その時、あたしたちの後ろから人の声が したから、 グレイがあたしを抱き寄せて近くの茂み のなかに隠れる。
「な、」
「見られたら後々めんどくせぇだろ?で 、」
茂みのなかは狭くて、 少し体を伸ばせばすぐに唇と唇が触れあ うほどの近さで。 あたしの中の熱は、さらにあがっていく 。
「恥ずかしい、よ」
「誰もみてねぇよ」
「…絶対しなきゃだめ?」
「だめ」
グレイがだめっていうから、あたしは触 れあうだけのキスをそっとグレイにした 。 そしたら、いきなりグイッと引き寄せら れて、より深く口付けされて。 やっと離れたと思ったら、彼はニヤリと 口角をつり上げていた。
「…今度は、こんなんじゃすまねぇから な」
そういうと、グレイは軽くキスして、「 送ってく」と茂みを出た。
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セリフ「お詫びにお前からキスな」
茂みに隠れて
グレル祭提出作品
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