A/P/Hをねじってこじつけて(オイ)パロってみました。嫌だと言う方はブラウザバック。
WW2のすぐ後ぐらいの話。
「なんでお前が行くんだよ、マモル!マモルが行く必要はない、それに…」
「嫌、俺が行きたいんだ。風丸と豪炎寺を助けたいから…だからごめんな、フィディオ兄さん」
「……ッ…わかっているの、連合へ行ってもお前は遊ばれるだけだよ!…ッなんで、わかっているのに行こうとするんだ…マモル…」
「兄さん…泣かないで」
円堂は弱々しくフィディオに囁いた。そう言う円堂の頬も濡れていた。
円堂は、皆を助けるためにと連合へ行こうとしているが、本心は皆と居たいのだ。
それに円堂だってわかっている。連合へ行ったら敗戦国がどう扱われるかぐらい。
どうせ連合国達の相手をさせられることぐらい検討はついていた。
それでも円堂は行こうとした。例え汚されてもいいから、仲間達のために。
「兄さん…俺だって行きたくないよ…?でも日本とドイツ…風丸と豪炎寺を助けたいから…だから…ごめん、俺は行かなくちゃならないんだ」
「…ッ…連合国の目当てはお前の身体だと知っていても…か」
「………うん」
円堂は悲しげに頷いた。しかしそれでも決心は揺らがなかった。今の円堂は、風丸と豪炎寺を助けることで頭が一杯だったからだ。
しかしそれも、フィディオの涙を見てか少し揺らいでいた。
円堂をキッと睨み付けてなんとか説得させようとしてくる兄…フィディオ。
彼と双子で良かったと円堂は心から思った。
「…兄さん、俺、兄さんと双子でよかったなって改めて思えるよ。同じ北イタリアと南イタリアに生まれてこれて本当によかったって思える。これからは違う道を歩むけれど、死ぬ訳じゃないんだからさ…そんなくよくよしないで。笑ってよ!兄さん」
「マモル…」
フィディオはこの時ほど円堂が綺麗だと思ったことはなかった。涙を流しながらも此方へ笑顔を向ける、弟に。
ああ、神はなんと残酷なんだろうか。こんな無垢な子を今から汚していくだなんて。
フィディオは感極まって円堂へと抱き着いた。これが事実上は最後の面会なのだから。
と、その時、どこからともなく拍手が聞こえてきた。
「麗しき兄弟愛ですか…泣けますね」
「その笑顔で言ってもこわいだけだ、イギリス」
「ミー達アメリカのほうは断然いいんだけどね!」
「何言ってるの?僕のほうがいいに決まってるさ」
「中国が何言ってるんだか…」
「……余談はそこまでにして、用件を伝えにきたよ。一緒に行こうか、マモル」
「連合国…!」
フィディオは息を飲んだ。とうとう来てしまったのだ、円堂を迎えに、最強の連合国が。
イギリス・アメリカ・中国・フランス・スペイン・ロシアが。
フィディオは呆気に取られていたが、円堂はものともせず立ち上がった。
そしてフィディオがハッと気付いた時には、円堂は連合国側に歩き出していた。
「おい…連合国!マモルを無理矢理従わせたってどうにもならないことぐらい、わからないのか…!?」
「わかってますよ、それぐらい。このような条件を出しても彼の心が手に入らないことぐらい…ね」
イギリス…もといエドガーが語りかけるようにフィディオの質問へと答えた。が、フィディオは納得がいかない様子で、ならどうして…と小さく呟いた。
「それでも欲しかったんだ。彼の身体だけでもいいから」
「ユーだってわかるだろう?好きな奴なら、例え身体だけでも欲しいってことぐらい」
次にフィディオの質問に答えたのはフランスとアメリカもといマークとディランだった。この答えにはフィディオも黙った。確かに好きな奴なら身体だけでも欲しくなるかもしれない。だが方法が間違っている。
やはりフィディオは黙っていられなかった。
「方法が間違っている…!強制なんて、おかしいッ」
「強制…じゃないよ?日本とドイツ…いや風丸くんと豪炎寺くんの解放の代わりにって持ち掛けたらすぐ了承してくれたんだ。だからこれは、強制じゃないんだよ」
「方法は間違っているいるかもしれないが、これが俺達のやり方だ」
中国、スペイン…いやアフロディとテレスがフィディオを見つめながらそう冷たくいい放つ。
今度こそフィディオは何も言い返せなくなった。
「これが連合国。わかるよね?君の弟は僕達が可愛がってあげるから、安心しなよ。さ、行こうか、マモル」
とどめとも言うべきロシア…ロココの冷たい一言と共に、円堂は去っていった。連合国達に囲まれていた円堂の顔はとても悲しそうだった。
きっとフィディオはあの顔を一生忘れないだろう。
パタリ
冷たい地面に、一滴の涙がこぼれ落ちた。
補足。北イタリアが円堂。南イタリアがフィディオ。日本が風丸。ドイツが豪炎寺。
イギリスがエドガー。フランスがマーク。アメリカがディラン。中国がアフロディ。スペインがテレス。ロシアがロココでした。
長くなったうえに暗くてすみません…。しかも何故か続く感じに終わってしまった…