教えて臨也先生A | ナノ










「臨也さん、どうかしたんですか?」
「んー…君達さぁ、最近シズちゃん見掛けた?」


ある日の学校帰りに何故かやっぱり池袋に来ている臨也に絡まれた帝人達。
けれど、何処か何時もの臨也らしくない気がして代表して帝人が訝しげに尋ねてみると、まさかの静雄の名前が出てきたものだから少し目を見張る。

口ぶりから察するに暫く出会っていないらしい。
あぁ、だから街中で破壊されている公共物を見る回数が減っていたのかと思いながら、臨也の問いかけに答える。


「普通に…見かけますけど…?」


静雄の仕事先はこの池袋界隈な訳で、その仕事先に向かう姿等を見かけることは少なくない。

新宿を拠点としているらしい臨也が滅多に見掛けないと言うのはおかしな事では無い気がする。
何故、いきなりそんな事を聞いてくるのか真意が解らずに、けれども二人が出会わなければ余計な諍いが起こらず街が平和なので「運が良いんですね」と帝人が何気なく視線を左側に向けると、自分と並んで立っている正臣の少し向こうの方から此方に向かって歩いてくる静雄の姿が目に入る。

固まった帝人に気付いた正臣と杏里も其方に目をやり、三人ともが「ヤバイ。何時ぞやの光景が再び!?」と身を固めたと同時に静雄と臨也の目と目が合ったらしく、目の前の臨也が「あ」と小さく呟く。

三人が一歩と言わず二・三歩後退って臨也から距離を取るものの何かが飛んでくることは無く、不思議に思って視線を静雄に向けると臨也を見つけたのに何かを投げようと持ち上げている訳でも無く。
殴る為に近寄るでも無く。
その場で立ち止まり眉間に皺を寄せて臨也を睨むと、自分達の居る道を避ける様に側にあった路地へ姿を消す。

拍子抜けして誰かが気の抜けた声を漏らすが、危険を回避出来た筈の臨也はわなわなと震えて真正面に立っていた帝人の両肩を掴んでガクガクと揺さぶる。


「ちょっと帝人君っ!!今の見た!?
あの人、俺見て溜息吐いたよ!?超失礼じゃないっ!?」
「うぇっ、ちょ、ま、って、何時もの、貴方の態度の方が、よっぽど、失礼です、って」
「言ってくれるじゃないか帝人君っ!!」


散々揺さぶって、見かねた正臣が止めに入った事でやっと帝人を解放した臨也はまた一人で池袋の街をブラブラし出す。


「(絶対、絶対シズちゃん俺の事避けてる―)」


実は、先程の様に臨也を見たのに静雄が黙ったまま立ち去って仕舞うという行動は今回が初めてじゃなかった。

不可解な質問を投げ掛けられたあの日から…以前なら見掛けようものなら何かしら投げてきて目が合えば追いかけて来たというのに、あの日からは目が合っても反らし、まるで臨也の存在を事前に察知して態と避けている。
そんな有り得ない事を考えてしまうぐらいに遭遇する回数すら減っていた。


「(俺だって、シズちゃん大嫌いだからね。
何時もしつこく追いかけられて辟易してたよ。うん。
やっとシズちゃんも学習したってこと?
これで俺も安心して仕事が出来る…けど)」







「(何か、気に入らない)」










その日から臨也は―



「シズちゃ…」
「悪ぃ静雄。待たしたな」
「いえ」



「シズ…」
「シズーオ、スシクイネー、ヤスイヨヤスイヨー」
「パス。今金ねぇし」



「シz…」
「あ、セルティ」



池袋に出向く度静雄を見掛けては声を掛けようとするものの、タイミング良((臨也にとっては悪く)邪魔が入ったりで接触出来ずにいた。




しかも―…



「(さっき、完璧目合ったじゃん!俺が話し掛けようとしたのも解ってたよね!?その上で偶々通りかかった運び屋に声掛けたよ!!)」


殆どのケースで静雄も臨也の存在に気付いており、そのタイミングで何も知らない第三者から声を掛けられる白地に何処か安心したような表情で目を反らす。



「(何かムカツク。何かムカツク。
理由ぐらい聞かないと…このイライラは収まらないよ)」



嫌い合っている筈なのだから出会う度に避けるのも普通な様な気がするが、今の臨也はそうは思えないらしい。

募った苛立ちを発散させる為、強行手段に出る事にした。






その最終手段とは…








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