赤い糸2 | ナノ



新羅said












数日前、臨也が「赤い糸が見える」なんて言い出した時は本気で頭を心配して解剖させてほしいと思った。
まぁ、断られたけど。

暫くは逐一何か発見する度に僕に報告していた臨也だったけれど、どうも何かを境にぱったりと見えなくなったらしい。
半分面白がっていたものの何やら自分の指には赤い糸が見えなかったのに、自分とは犬猿の仲の静雄には雁字搦めで赤い糸が巻き付いているのが腹が立つとかで常にイライラしていた様にも思える臨也は赤い糸が見えない、以前の生活に戻って幾分か落ち着きを取り戻した様に思える。




けど、




「どんなもの好きか気になるんだよ!」



と、雁字搦めの赤い糸を括りつける程静雄の事を想っている相手が気になって仕方ないとかで静雄に近付く相手に無意識の内に目を光らせて居る臨也は少々笑いを誘う。





「素直じゃ無いなぁ臨也の奴」
「ん?」
「いやぁ、意外と臨也は乙男だなと思って。素直になれば何かが変わるのにさ」
「おと…めん…??」



ちなみに臨也が赤い糸が見えていた時に僕のはセルティと確り繋がっていたのを確認してるから静雄の側に居ても睨んだり…と言うことは余り無い。
今みたいに疑問に思うとこてんと首を傾げる。
そんな静雄は確かにカワイイ奴だなぁと思うけど、それは親が子供を想うみたいな感じだ。だから安心しなよ臨也。



そして変わった事がもう一つ。
臨也が赤い糸が見えなくなった代わりに、今度は僕が見える様になったって事。
臨也が気持ち悪いと言っていた僕から伸びている“らしい”赤い糸は確かにセルティへの枷の様に手首まで巻き付いていた。

正に、セルティを僕の側に繋ぎ止めていたいという想いの具現化だと思う。
でも、残念な事に臨也が言っていたセルティから僕に伸びて居るらしい赤い糸を僕が見ることは出来なかった。
綺麗な蝶々結びだと言っていた。
きっと、僕には見えないけど確かに僕の小指にはソレがあるんだろう。





これは僕の仮説だが、自分に伸びている赤い糸は見えないんじゃないか。という事。
臨也が見えなくなって、僕が見えるようになるまで。
その間にセルティからの僕の愛が切れてしまったんじゃないか。と解釈する人も居るかもしれないがそれは無いと断言する。
大袈裟な愛情表現こそ無いけど、セルティは確かに僕を愛してくれていると言えるもの!

それに、あれだけ見えない見えないと行っていた臨也の指にも確りと1本の赤い糸が巻き付いていた。
それもここ2・3日で巻きついたなんてもんじゃ無いだろう。


伸びた糸には幾つもの結び目。
まるで何度も何度も嫌いになろうとした、けど、やっぱり嫌いになれなくて、切った筈の糸を繋げ直した。そんな感じ。

そんな不器用でいじらしい想いが見てとれる赤い糸が臨也の小指に控え目に、可愛いらしい小さな蝶々結びを作って結ばれている。


臨也には勿体無いくらい本当にいじらしい想いだよ。
臨也なんかは糸の繋がる要となる小指の肌色が見えなくなるくらいぐるぐる巻き…結び目だって何処にあるのか解りやしない。
しかも、僕の手首まで巻きついてるなんてまだ全然可愛いんじゃ無いかって思うよ。臨也からの赤い糸は相手の小指に留まらず、脚や胴、もう片方の腕や首にまで絡まってるんだから。
驚く事に日に日に絡み付く部分も増えて行ってるんだよ?君の方が十分気持ち悪いよ臨也。



あー本当可哀想に。
今迄、嫌よ嫌よも好きの内。とは思っていたけれど、二人の追いかけっこはお互い素直になれないが故の、最早必然の行動だったんだね。
何だかんだで両想いじゃないか!




「臨也ー。面白いこと教えてあげるよ!」
「何、つまらない事だと容赦しな…」
「君の赤い糸はねー…」
「…はっ!?」




面白がって臨也の赤い糸の行方を教えてあげると、本当に「ボンッ」て効果音が聞こえてきそうなくらい一気に顔を真っ赤にして狼狽る臨也。
いっつも人(主に静雄)をおちょくって遊んでいる君がおちょくられるのはどんな気分だい?


面白くなってあははと声を上げて笑うと、状況を飲み込めてない静雄はまた首を傾げる。



「静雄はさ、“赤い糸”って信じる?」
「は?赤い糸??あの運命の人と繋がってるってヤツ…?」
「そうそう。それ」
「…何か、ロマンチックだよな。そーゆーの」



僕が尋ねると、ほわんと微笑んで自分の小指を見る静雄。
君にとってはただの指に見えるかもしれないが、今の俺の目から見たらその指にはグルグルと赤い糸が結びついていて、それを支点に体中に糸が絡み付いている…って言ってる側からまた一周巻き付いた。
おいおい。と思って臨也を見ると、血管切れるんじゃないの?ってくらい真っ赤になってぷるぷる体を震わせてた。



「シ、シズちゃんの馬鹿ーっっ!!」
「はぁ!?」
「何、赤い糸とか信じちゃってんの!?
か、可愛いんだよバカーーーーーーーっっ!?」
「なっ、誰がバカだっ!待ちやがれ臨也ぁあぁああぁあ!!」



わぁ、走り去り際に更に2・3週赤い糸が巻き付けたよ臨也…
つか、赤い糸が見える視界じゃ逃げている様でその実引っ張ってる様にしか見えないよ。




「あはは、お熱い事で」







アトガキ


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