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海賊臨也
( 2010/09/20 14:57
)

あまりにも更新無さ過ぎですみません…
何だかOFFが忙しかったりゲームしたりで(オイ…)中々小説完成できませんです…
なのでこれから時々ですがblogに書きかけ小説とか修正する可能性ありの暫定版とか載せてこーかなって思います。


で、今回は海賊臨也×子シズ小説の導入部分…
全然イザシズじゃ無いですが。






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大海原を航行中の客船が海賊に襲撃された。
大した武装も持っていない客船では満足に海賊と応戦する事も出来ず、少しもせぬ間に乗り込まれそれなりに大きな船内は逃げ惑う人々で溢れかえった。





噎せ返る血臭、劈くような断末魔や悲鳴に微かに身を震わせながら静雄は船室の戸棚の中に身を潜めていた。
まだ幼い子供の体なら難無く入れるであろうサイズの戸棚の中で隠れている様父に言われた。その父も先ほど部屋に押入った賊により切り捨てられていた。戸棚の僅かな隙間からその前で己の血溜りに横たわる父が見える。男手一つで自分を育ててくれた父の亡骸を目の前にしても静雄は表情を変えることはなかった。
硝子玉の様に透き通った色の目にただその光景を映すのみだった。

偶々この部屋に押入った賊が杜撰だったのか、静雄の父を殺害しただけで特に荷物の物色もせずに出て行った。多くの人間の走り去る足音が静雄の身を潜めている部屋から遠く離れていき、だんだんと静けさが戻ってくる。けれどその静けさを掻き消すように船内をユックリと歩く靴音が響く。



カツン、カツン



まるで散歩でもしているような足取り。
その様子から足音の主が身を潜めていた人間が様子を伺う為に廊下を歩いているのでは無く、船内の人間を追う側の人間だと解る。
静かな足音が段々と静雄の居る部屋へと近付いてくる。
部屋の外から誰かの悲鳴や断末魔が聞こえた時も目の前で父をコロされた時もさして感情がゆらぐことは無かったのに何故だかその足音は恐ろしいと思った。
それは死への恐怖では無く何か別の恐怖だった。

ほぼ一定の速度で聞こえている足音、部屋の中を覗くのでは無く、ただ仲間の後を追っているだけのようだったそれが静雄の潜む部屋の前で止まった。
静寂の中、息の音、心臓の音すら聞こえてしまうんじゃないだろうかと静雄は元々縮こまっていた体をさらに小さく小さくするように自分で自分の体を抱き締めた


「(嫌だ…っ、嫌…嫌…“ ”けて…っ)」



恐怖に涙するだなんて何時ぶりだろうと心の何処かで思いながらも確かに自分の隠れて居る戸棚へと一歩一歩近づいてくる足音にカタカタ震えているとピタリと足音が止んだ。
キィ…と戸棚の扉がゆっくりと開かれる。ドキドキと脈打ち収縮を繰り返す心臓が、このまま肥大して破裂してしまえばいいのにと静雄は思った。


「見ぃ付けた」

開かれた扉の向こうに見えた血よりも深い鮮やかな赤が見えた。
逆光で容貌がはっきり見えない中、その相貌だけは確りと見えた。
まるで小さな子供が探していた玩具を見付けた様な軽い調子の声でそう行った足音の主は戸棚の中で震えて居る静雄を人形を持ち上げるかのような軽さで抱き上げてしまう。
その足跡の主である男は仕立ての良い黒を基調にした服を身に纏い、見目の良さとあまり陽に焼けていない白い肌も相まって一見すると何処か貴族の出とも思える風貌だった。けれど大きく開けられた襟元から除く髑髏のタトゥーがその男が海賊なのだと知らしめていた。
逃れたい。けれども小さな静雄の体はその男の片腕で軽々と拘束されてしまっていて、それ以前に赤い相貌に見詰められてから上手く動いてくれない体ではどうにも為らないだろう。
震えの止まらない静雄を気にも留めずに男は無邪気に笑ってみせると白いグローブを外した静雄を抱いていない方の指で、手入れせずとも瑞々しい果実のようなぷっくりとした小さな唇をゆるりと撫ぜた。

「面白そうなモノ見つけちゃったなぁ」

男の無邪気な笑みにも声にも相変わらず体の震えは収まらない。けれど、段々と心は凍り付いていくのを静雄は感じる。

―あぁ、やっぱり俺は…―

極度の緊張からか、生への諦めからか、或は両方か。腕の中で意識を失いくたりと体を預ける静雄を丁寧に抱き締めた男はその部屋を後にした。




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