▼ 探偵と情報屋
「御機嫌よう、探偵さん。
今日も新鮮な情報、入ってるよ。」
黒いボロボロのローブに身を包み、
路地裏に隠れるように蹲る少女が
ポツリとこちらに語りかける。
「御機嫌よう、お嬢さん。
ナイスタイミングだ。」
男は壁に寄りかかると、
後ろ手で金の入った袋を少女に投げ渡す。
「あの女、噂通りの売女だったよ。
恵まれてるからこそかしら。」
「ほう。これはこれは。
君が言うのならば確かなんだろうね。」
「確かだよ。確かだとも。あぁほんと、
はした金で雇われた、
とはいえ主を密告するのはなんとも言えない。」
少女はボヤく。
「あぁ、お金、ありがとうございます、探偵さん。
弟の治療費に出来ます。」
そういって少女はゆっくりと路地裏に消えていく。
男はふぅっと紫煙を吹いて、空を見ていた。