▼ すやすやロビぐだ
宿屋で眠る少女を男は眺めていた。
少女が抱きしめているのは
昔自分が買い与えた毛布だ。
まさか後生大事に持っているだなんて
思いもしていなかったのだが…
悪い気はしない。
この少女が自分を
頼り、誇り、慕い、愛してくれているのをより実感出来る。
いつの間にか自分の頬が
ふっと緩んだことにも気づかないまま、
少女の頬を撫でる。
「ん、……んー…ろびん…」
「おっと、起こしちまいましたか。」
ゆっくりと目を開け眠そうに瞬きをした少女は
男を見るとへにゃりと笑った。
「ろびん」
嬉しそうに男に手を伸ばす少女を
優しく抱き上げてぽんぽんと頭を撫でた。
「甘えたさんだねぇ、リツカ?」
「ロビンのね、腕の中、あったかいからすき」
むにゃむにゃと眠そうに少女は答える。
そのままにしておけばまたすぐ眠るだろう。
「おやすみ、リツカ。」
眠りに落ちた少女は
ぎゅっと、男の服を握っていた。