▼ オルタニキとぐだ子ちゃん
夜中、ふと目が覚めると
誰かが布団の中に入ってきた。
「…クー・フーリンオルタ?」
「……。」
武装を完全に解いた
クー・フーリンオルタがそこに居た。
彼が武装を解く、など有り得ない。
天文学的確率ですら霞むほどの
僅かな可能性すらないにも等しい。
にも、関わらず。
少女を抱き枕宜しく抱き抱える彼は
完全に武装を解いている。
少女は悩んだ末、こう結論ずけた。
きっとこれは夢であると。
ならば何の問題もないじゃないかと
迷わずその手を彼の首に回して抱きつく。
存外温かな体温が眠気を誘う。
「おやすみ、クーちゃん……」
実は呼んでみたかったその名を呟きながら
目を閉じれば船は簡単に泳ぎ出す。
気のせいだろうか。
よく寝ろ俺のマスター
という声とともに頭を撫でられたような気がした。