▼ シスターぐだ子ちゃんと悪魔巌窟王
嗚呼、何故、何故なのか。
一人の少女が牢獄で嘆いていた。
楽園 を信じ、
祈りを捧げ、人を助け、日々過ごしてきた。
だと、言うのに。
人々は楽園 の存在を否定した。
それだけでなく、
楽園 を信じる者を否定した。
信じてきた人々は牢獄へと捕えられ、
地獄のような、或いはそれ以上の苦痛を受けた。
少女も、そうだった。
犯され嬲られありとあらゆる苦痛を受け、
片目すらも失った。
何故、何故、
少女は枯れた喉を押さえながら呟く。
そして胸の奥で、
ぢりぢりと燻っているような、
じわりじわりと燃え広がるような、
何かが、何処かが、歪み、壊れていくような、
初めての感情が渦巻いていた。
そして、気づく。
この感情 が、憎しみなのだと。
憎悪 が、芽生えたのだと。
枯れた声は訴える。
けして、けして、許しはしない、赦しはしないと!
信じてきたものを握りつぶしたヤツらを!
我が身を壊した憎きヤツらを!
壊す力を、殺す力を、誰か、誰か、
力を貸して!
声にならぬ声で叫んだ。
すると、小さな笑い声とともに
愉快げな笑みを浮かべた男が目の前に立っていた。
少女と同じ瞳の色の、
真っ暗闇を思わせる真っ黒な服を身に纏う男は
待ちくたびれた、とばかりだ。
「あぁ、やっとオレを呼んだな、リツカ。」
男はヤツらによって奪われた少女の名を呼ぶ。
「リツカ、力を貸そう。
オレならば、お前の望む世界に導いてやれる。」
男はぐっと手を握る。
その時、ぐちゅり、と嫌な音と共に男の片目が潰れた。
「!」
男の開かれた掌にはコロリと一つの目玉が乗っていた。
目玉に、少女の驚いた顔が映る。
「さぁ、オレの手を取れ、リツカ。
それが、オレとの契約の証となる。」
差し出されたその手を、少女は