▼ マーリン SS
頭の上にいつの間にやら花の冠があった。
「……いつの間に…」
「さっきだよ。ついさっき。」
花の冠を手でくるくると回しながら
廊下を歩いていると真後ろから声がした。
「…あ、クズのキャスターマーリンさん。」
「わぁ、酷い言われよう!
お兄さん泣いちゃうぞー?」
「泣いたら煩いからウィッカーマンね。」
「本当に扱いが酷い。」
ぷーっとわざとらしく
頬を膨らませるマーリンを無視して歩いていく。
「ね、それ付けないの?
君に似合うと思うんだけど。」
「…私に、花は似合わないよ。」
苦笑いで歩いて部屋に戻る。
どういうわけかマーリンも一緒に。
「…なんでついてくるのさ。」
「ん?アレだよ。退屈しのぎさ。」
「あっそ。」
我が物顔で人のベッドにダイブするマーリンに
溜息をつきつつ花の冠を部屋に飾る。
「花は似合わないんじゃなかったのかい?」
「五月蝿いな。捨てるよりいいでしょ。」