▼ 髭って火薬のニオイしそうだよね
ピコピコ音がする。
ベッドの端に座る黒髭の膝を枕にして
リツカは下から眺めていた。
リツカの前には携帯ゲーム機が見える。
そのせいで黒髭の表情は見えない。
「ひげー」
「ン〜?もうちょっと待たれよ〜
拙者今超絶イイトコロ何でござるよ〜」
声をかけてもずっとこんな感じだ。
つまらない。
横に座ってじーっと見てもそんなに反応がない。
ゲーム画面を見られると少し恥ずかしがる程度だ。
唇を尖らせながら
黒髭の背後に回り首に抱きつく。
「ぐぇー」
わざとらしいうめき声が聞こえるが
ゲームに支障はないようで。
思いっきり息を吸うと
うっすらと火薬のニオイがする。
このニオイ、なんとなく好きだ。
「…花火したい」
「お、いいですなぁ花火!
ロマンチックな告白のフラグが立ちますぞw
デュフフww」
「ひげ私に告白されたい?」
「とーぜんロマンチックな雰囲気で
告白されたいでござるよぅ!」
「お前のいうロマンチックわからんから
おかん に聞いてみるわ。」
「やめて下され、死んでしまいます。」
「死んでも首は残しとくよう言っとく。」