▼ 李先生とぐだ子
リツカは、李書文の腕の中にいた。
「随分甘えただな。」
「ん……。」
胸に擦り寄るリツカの髪をそっと撫でると
もっと、と言わんばかりに
じぃっと此方を見つめ出す。
「せんせ、いい匂いする。」
リツカは李の首に腕を回し、
ギュッと抱きついた。
ふわりと漂うリツカの匂いに口元が緩む。
ふ、っとリツカの力が弱くなる。
恐らく、眠かったのだろう。
耳元で規則正しい寝息が聴こえてくる。
「呵々 …儂に甘えすぎるなといったのだがなぁ…。
愛し仔 め…。」
そう呟く李の目は、ただただ穏やかだった。