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- ナノ -


胸の内   (政宗)






控えめなノック音がした。
「…誰?」
「よ、よぉ、Not…」
扉をあけたのはマサムネだった。
「…一人なんて珍しいね。」
「ちょ、ちょっとな。」
そういって入って、
Notの隣の席に座った。
「………どうしたの?暗い顔で。」
「……………相談、しにきた。」
俯いたマサムネは、
とても悲しそうだった。
「………」
「最近いや…前もあったんだけどよ、
 なんか、その、こじゅが
 俺を俺じゃなくて、別の誰かと
 重ねて見てるような気がして…
 なんか………寂しい…のか?」
なんかよくわかんないけど、
と付け加えた。


疎外感と孤独感。
元々それを感じやすい性格なので
余計辛いだろう。

「…昔、」
「…?」
「と或る王とその従者がいました。」
「…」
「王はと或る戦で戦い、
 従者も戦っていました。
 しかし従者は戦いの最中、
 命を落としてしまいました。
 王は戦いには勝ちましたが、
 大切なものを失いました。
 従者の最後の言葉を、
 人伝に聞きました。」
「…なんて、いったんだ?」
「『最後まで、見届けたかった。』」
「…見届ける…?」
「王にとってその従者は、
 父であり、兄であり、友だった。
 それは従者にとってもそうだった。
 だから、
 見届けたかったの。
 その命の終まで。」

あの時の私も、きっと彼も、
同じ気持ちだった。
たぶん。

「もしかしたら、二人は…」
「マサムネさまぁあぁあああ!!!!」


言いかけたところで
コジュが血相を変えて
部屋に入ってきた。

「…あらあら、」
「探さないでください
 なんて紙おいていかれるなど!!
 やめてください!!!!!
 いきなり!!いなく!
 ならないでくださいと!!!
 いつも!口酸っぱくして
 言っているでしょう!!!!!!」




      見届けよう、今度こそ。


(今度こそ、私も貴方も、)
(見届けよう、最後まで。)



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