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「#お仕置き」のBL小説を読む
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- ナノ -

雨降り

雨は嫌いだ。
傘で視界は阻まれるし、
走れば飛沫で服も足も汚れるし、
においや気配もわからなくなる。

人並みの視力と機動力、
常人離れした嗅覚と影の薄さをもつ
雇われ忍のNotは
雨の日は仕事を休む。
雨では唯一他より優れた嗅覚が
役に立たない。

梅雨の時期は
どうしても仕事を休みがちになる。
Notは人里離れた山奥の廃屋で
寝泊りをしていた。

「雨…やまないな…」

憂鬱げにNotは
寝転がりかがら外を眺めていた。
しとしとと降っている雨が煩わしい。
普段の今頃はなんの恐れもなく、
戦場を駆けていたというのに。

「…ん?」

向こうから、
床が軋む音がした。
軋む音はこちらに向かっており
敵かと思い身構える。
が、それは無駄だったようだ。

「…風魔殿。」
「……………。」

見知った顔がそこにいた。

風魔小太郎。
小田原の北条氏政に雇われている忍だ。
伝説の忍、風の悪魔、
などと呼ばれている
ありえないほど腕のたつ忍だ。
無口で無表情。
何を考えているのかまったくわからない。

「……………。」
「…驚かさないでくれ風魔殿。
 一体何事で?」
「………………。」

この男の前ではどんな抵抗も無意味だろう。
Notは武器を置いて構えるのをやめた。

「……………。」
「…?」

風魔はそっと隣に座った。
やはり何を考えているのか
まったくわからない。

「…風魔殿。」
「…………………。」

風魔は座ったNotの
膝を枕にして眠り出した。

「…は?」

Notは心の隅で
暫くは動けないだろうな
なんて呑気に思っていた。1



 


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