▼ 名前変換なし (鶴姫)
「私、もう死んじゃうから後よろしくね。」
姉様は、にこやかに言った。
「え…?」
「私が死んだら、鶴が巫よ。
私は常世の国で待っているから。」
「い、いやです!姉様がいなくなるなんて…!」
「ううん。もう決まっているの。
それに…」
姉様は、私の頭を撫でてこういうのです。
「私はもう限界みたいなの。」
そういった瞬間、姉様の体が、壊れた。
弾けて飛び散る赤、鉄の匂い、悲鳴。
恐怖と絶望と悲しみで、
泣くことしかなかった。
そして、私は巫になった。
姉よりも強い力を持って巫になった。
ちょっとのことじゃ
へこたれなくなった。
ちょっとのことじゃ
怖いなんて思わなくなった。
けれど、
姉様がいない世界は
空虚な気がしてならぬのです。
貴女はもういないの。
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