▼ 春うらら (学バサ)
珍しく、風魔があくびをしていた。
ぱたぱたと叩くホコリ叩きが
だんだん遅くなっていくのに
くすりと笑うとそれに気づいた風魔が
気まずそうに顔をそらした。
「…おはよ。」
「……………」
「眠そうね。」
「…………」
風魔がすっと胸ポケットからメモを取り出し、
さらさらと何かを書き込んだ。
それをNotが見やすいように見せた。
少々古風な綺麗な文字で
『春うらら』と書かれていた。
確かに今日は桜を揺らす程度のそよ風が吹き、
太陽の光は柔らかに射し込んでいた。
ここで眠ればさぞ心地がよかろう。
「………風魔君。」
「………………」
「私昼寝するから起こしてよ。」
そう、Notが笑った。
春うららか ゆらゆら長閑
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