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- ナノ -

虎が縁結び   (宇都宮広綱)

宇都宮広綱は困っていた。
しかも現在進行形である。

「…………。」

Notという娘が
ペットの虎から離れないのだ。

「Not!
 いつまでくっついてんだー!」
「宇都宮くんがこの虎 この子
 くれるまでぜぇーったい離れない!」

Notは最近、
同じクラスに転入してきた。
明るく、人当たりのいいNotは
すぐに打ち解けていたのだが、
その日、宇都宮は天文学的確率を超えて
風邪をひいて休んでいた。
が、翌日には治ったので
登校した途端こうなった。

Notは毛が
モフモフとした生き物が大好きらしい。

「これは俺のペッ…相棒なんだ!!」
「なんでそこ言い直したんだよ。」

なんて同じクラスの
尼子晴久に突っ込まれたので
軽く額を小突いた。
特に意味は無いが
思いの外力が入っていたのか
軽く悲鳴を上げていた。

「尼子うるさい!
 と、に、か、く!!この虎は俺のだ!」
「やだー!ください!!」

宇都宮は5秒ほど考えて、
こういう時の"奥の手"をだした。

「Notが俺の嫁になるんならいいぞ!!」
「了解です!!」
「?!」
「末永くお願いします!」

そう笑うNotに
宇都宮どころか他の者まで
時間が止まったように固まったのは
言うまでもない。1



 


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