▼ ほのぼの
妖怪夢主
人が来ないから、
といってこの男がやってくるようになって数週間。
家に帰ったら目の前にいる、という図には慣れた。
しかし、今日は少し違った。
この男、勝手に布団敷いて寝てやがった。
こちらに背を向け布団を肩までしっかりかけ
スヤスヤ寝ていた。
「をい?!」
人の布団勝手に使う奴がいるか?!
防具まで外しているあたり、
もう寝る気マンマンだったんだろう。
人の家に勝手に上がった挙句
勝手に布団を敷いて眠るなど
私をなんだと思っているのやら。
…とりあえず、起こそう。
「おい…おい起きろ!忍!」
「………」
起きたのか起きていないのかわからない。
揺すっても微動だにしないあたり、
起きてないということにしよう。
困った。
ふと思い立って櫛で男の髪を梳いてみると、
さらりと零れた赤い髪が綺麗だった。
思いの外柔らかい髪に腹が立つ。
腹が立つし三編みにでもしてやれ。
少しでもわかりにくい場所に一房、
小さく紐でくくった。
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