▼ もう目覚めない眠り姫(ザバと主)
あの日、
「…コノハ様。」
主の心は死んでしまった。
あの日、サモナーズは壊滅した。
ただ一人を除いて。
ギルドマスターであるコノハを除いて、皆、死んだ。
コノハの目の前で、死んだ。
…その時、コノハの心は死んでしまった。
「コノハ様。」
声をかけても、
主たるコノハはなんの反応も示さない。
ただ虚ろな瞳は何も映さぬまま、そこにあるだけだった。
男は思う。これがこの罪への罰なのだろうと。
死する運命の者を生き長らえさせ続ける罪への。
生きることを諦め、ただ虚ろを体現するコノハは
もうきっと目覚めることなどないのに。
「…まだ、お目覚めにならぬのですか。」
まだ、奇跡に縋っている。
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