▼ 寒い日(シロウと主人公)
寒い。とても寒い。
コノハはベッドの上で毛布をかぶり直す。
あまりに寒くて凍えそうだ。
「…さむ…」
時計をチラリとみればまだ眠ってもいい時間だった。
が、この寒さではキツイ。
毛布にくるまりながらこっそりとシロウの部屋に忍び込む。
「…ギィ…」
「あ、ごめんねエビル、起こしちゃったね。」
足元のエビルが目を擦りながらこちらに手をあげてくる。
そのエビルをひょいと抱き上げて
ベッドで眠るシロウの顔を覗き込む。
すやすや眠るシロウの顔は子供みたいで可愛い。
起こさないようにそっと布団に潜り込む。
温かくて心地がいい。
コノハはいつの間にか眠りについた。
一方、シロウはドキドキしていた。
あぁ実のところ、起きていた。
コノハが部屋に入ったあたりからずっと。
「…コノハ、…ね、寝ちゃったのか…。」
「ギィ」
コノハの腕の中のエビルはのそりと抜け出して
シロウの肩をぽふぽふ叩いてベッドから降りる。
空いた隙間を埋めるようにコノハが身を寄せてくる。
「!……」
ドキドキしながらコノハを抱き寄せる。
自分よりも低い温度に少し驚いて、
コノハが寒くないように布団をかぶり直して
また、目を閉じた。
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