▼ ザバと人を殺しちゃった主人公
息が白い。重い。頭がグラグラしてる。
「大丈夫ですか、コノハ様。」
隣を歩く男は横目で少女を見つつ歩を進める。
「大丈夫。…大丈夫。」
重いずた袋を引きずりながら
少女は青ざめた顔で歩いていた。
静かな森の中、ポカリと空いた穴にずた袋を放り投げる。
「…ごめんねザバーニーヤ。」
「……。」
「じゃぁ、裁いて。私、法を破っただろうから。」
「…はい…。法を、執行します。………お覚悟を、コノハ様。」
少女は人を殺した。大好きな人を殺した。
もう一緒になれないのだと泣いた。
ならもういっそ、それならばいっそ、
かつて諦めた恋心に、この身を焼かれて裁いて貰おう。
「…ありがとう、ザバーニーヤ。」
炎は少女をごうごうと燃やした。
その身に宿る罪ごと。
「………コノハ様。」
男は燃えるそれを抱く。燃える炎はやがて男を焼き焦がす。
この胸に宿った恋心をも焼かれてしまえと男は泣いた。
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